1日、ソウル鍾路区(チョンノグ)外交部庁舎で中央SUNDAYのインタビューに応じた趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官 キム・サンソン記者
趙長官は「我々も国益を最優先価値として両国ともにウィンウィンできるパッケージを作り出すために交渉中」とし「今月末に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに相互利益となる結果を得るために努力している」と説明した。
趙長官は米国側の3500億ドル(約51兆円)前払い要求に対する国内の批判世論については「政府が最善を尽くして交渉している状況で、これを反米の雰囲気と見るのは正しい方向でない」とし「安全保障だけでなく経済的な側面でも韓米同盟が強化されてこそ、周辺国も我々を容易に見ることができないはず」と述べた。
趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は7月に就任して以降、過去に見られないほど複雑多端な国際政治懸案と向き合っている。韓米関税交渉だけでなく、ジョージア州拘禁事態後のビザ問題も敏感なイシューに浮上した。急変する韓半島周辺情勢の中、韓中、韓日関係と対北朝鮮政策基調を再整備するのも難しい課題だった。趙長官は政治学者グレアム・アリソンの著書『米中戦争前夜』とケビン・ラッド元オーストラリア首相の著書『避けられる戦争』に言及し「今は現実的な外交的解決策を追求してこそ厳しい国際情勢で生存できる」とし「新政権が実用外交を前面に出すのもこうした理由」と明らかにした。
--韓米関税交渉が難航している。
3500億ドルのパッケージは8月の韓米首脳会談前に大筋で合意し、首脳会談でも再度確認した。当時も我々は日本とは違う、国民に負担になる内容があれば了解覚書(MOU)も条約も国会に行かなければいけないという点を米国側に明確に話した。ところがその後、米国は我々が受け入れがたい内容を追加して要求してきた。これに対して李在明(イ・ジェミョン)大統領も裏面交渉はなく国益最優先で交渉し、商業的合理性に基づいて進めるべきという3大原則を明確にしている。現在はお互いの案を交わしながら駆け引きする過程が続いているところだ。
--交渉のマジノ線はあるのか。
APEC以前に互いに受け入れ可能なウィンウィンパッケージを作り出そうと努力している。通貨スワップも米国が全部を受け入れるのが難しいなら、代案を提示することは可能とみている。実際、米国も「ライジングチャイナ」に追われる状況で我々もこのままいけば競争力がある製造業分野でも中国の力に押される状況だ。このように両国の利害関係が一致するだけに、相互理解の幅を広げていく中で我々の国益を守りながら韓米同盟を強化・発展させることはいくらでも可能だと考える。
--ビザ交渉は一部進展があった。
我々の国民をあのように拘禁するのは本当に受け入れられないことだ。すぐに米国に渡り、ルビオ国務長官と会うことにしたが、突然、一日延期された。会うとすぐに、トランプ大統領が「これは間違っている。彼らが引き続きそこで仕事ができるようにして技術の伝授を受けるようにするべき」と指示したと前後の事情を説明した。これに対して私は即刻釈放後の韓国行き、空港まで手錠絶対禁止のほか、米国再訪問時の不利益がないよう強く要求して確答を受けた。新しいビザを作ったりクオータを確保したりするなど制度的改善案も引き続き議論している。
韓米の懸案を話す過程でも中国への言及が絶えないほど、中国はすでに韓米両国に「第一の変数、常数」になっている。問答は自然に韓中関係につながった。
--中国は我々にとってどんな存在なのか。
中国は不便な隣国という声もあるが、そうではない。重要な隣国だ。体制は明確に異なるが、人口14億人の経済強国であるだけに協力するべきことは協力し、相互利益を追求しながら共に生きていく方法を深く考えなければならない時だ。サービス・金融など韓中自由貿易協定(FTA)拡大を推進するのも同じ脈絡だ。ただ、互いに守るべきことは徹底的に守らなければいけない。中国の西海(ソヘ、黄海)不法構造物の設置に強く抗議したのもこのためだ。互いに不必要な刺激はやめようということだ。こうしたレベルで我々も嫌中デモは自制する必要がある。
--米国より日本を先に訪問した。
それで「親中反日」フレームが崩れたのではないだろうか。日本政界も予想外の動きを歓迎し、米国も背景を説明すると「よく(日本を)訪問した」と何度か歓迎の意を表した。歴史問題は厳然として存在するものだ。日本が自ら省察して恥じなければいけない。ただ、過去は過去として忍耐心を持って断固たる態度で扱っていくものの、未来志向的な韓日関係も同時に模索しなければいけない時だ。激変の国際環境で科学技術・経済通商・文化など協力する分野も少なくない。韓日フォーラムなど民間高官級対話チャンネルもより活性化すると期待される。
--非核化は放棄するのかという懸念の声が少なくない。
核のない韓半島を作るというわが政府の目標に全く変わりはない。重要なのは、互いに軍事的緊張を緩和して信頼を回復し、今の敵対関係を平和共存関係に転換することだ。米国も非核化という基本立場に変わりはない。
--同盟派・自主派については。
それは20年前のフレームであり、今は同盟派・自主派はなく国益派・実用派がある。今週、民主党議員会議に招待されて発表したが、ある議員が「国益を最優先に強調する姿を見て安心した」と話していた。
--APEC首脳外交も関心事だ。
トランプ大統領と習近平国家主席、日本の新首相も訪問するとみられる。トランプ大統領のスタイル上、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と電撃会談する可能性も排除できないが、そのような場合、我々は積極的に支援する方針だ。
--外交部の革新計画は。
過去の冷戦時代の外交の旧習がまだ残っている。何よりもむだな報告書や過度な儀典から果敢に減らす考えだ。行政業務を最大限に減らして、組織を政策部処に変える計画だ。若い外交官から政策開発に集中するよう組織を変えていく。
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