統一部の鄭東泳長官が24日にソウル市内のホテルで開かれたセミナーであいさつをしている。[写真 ニュース1]
鄭長官はこの日、2025国際韓半島フォーラムなどに出席するために訪問したドイツのベルリンで記者らと会い「北朝鮮は米国本土を打撃できる3大国家のひとつになってしまった。冷静に認めるべきことは認めなければならない」と話した。鄭長官は2018年の朝米首脳会談の局面に触れ、「北朝鮮が自ら戦略国だと話すのに戦略的位置が変わった。ひとまずその現実から出発しなければならない」ともした。
これは北朝鮮の核脅威がそれだけ危険な水準ということを強調するための発言とみられる。また、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「非核化は永遠にない」と明らかにした点を考慮し、北朝鮮を対話の場に誘導するための側面もあるとみられる。
ただこうしたアプローチ法は北朝鮮の非核化という目標が薄れる結果につながりかねないと指摘される。北朝鮮を「米本土を打撃できる3大国」と描写したのは北朝鮮を中国やロシアと事実上同等な位置で、すなわち核弾頭だけでなく大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発も完成したという意味と受け止められる余地がある。韓国政府は公式には北朝鮮がICBM再進入技術を確保できていないものと評価している。
統一部関係者は鄭長官の発言に対し、「北朝鮮の核とミサイル能力が高度化されているという警戒心を喚起する次元。(3大国との言及は)すでに中国とロシアが核運用能力、大陸間弾道ミサイルがあるので(鄭長官の)言葉の通り理解すれば良いようだ」と話した。
2019年2月に決裂で終わったハノイでの朝米首脳会談に対しても鄭長官は「スモールディールが実現していたならば核問題の展開過程は違っただろう」と話した。特に北朝鮮は寧辺(ヨンビョン)核施設だけ放棄し制裁を緩和してほしいという「スモールディール」を提案したが、トランプ米大統領は北朝鮮が非核化という最終状態に合意せず交渉を破棄した。
北朝鮮の李容浩(イ・ヨンホ)外相と崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官(いずれも当時)は会談決裂直後に記者会見を行い、「(われわれの)提案を米国が受け入れないのは千載一遇の機会を逃したもの」と主張した。これに対しても鄭長官は「その言葉は不幸にも合っていた」と話した。
鄭長官は最近自身が提唱した「平和的2つの国家論」と憲法の衝突問題に対しては、「それは空理空談(道理に合うようだが空虚な話)だ。(平和的2つの国家論で)そのようにして交流協力を再開しなければならない」と話した。鄭長官はまた「朝米関係を通じて安全保障と安全保障を交換するならば米国は支援したり金を出す考えは全くないのではないか。ベトナムの道を進みたいという金正恩委員長の言葉が心からのものならば南北協力のほかには方法がない」ともした。
◇北朝鮮「核放棄しない…友好的な国とは交流」
一方、北朝鮮の金先敬(キム・ソンギョン)外務次官は29日、ニューヨークで国連総会の一般討議に参加し、「われわれは核を絶対に放棄しないだろう」という金委員長の既存の主張を繰り返した。
金次官は「われわれに非核化しろというのはそのまま主権を放棄し生存権を放棄しろということ。われわれは国法で国策で主権で生存権である核を絶対に放棄せず、どんな場合でもこの立場を撤回しないだろう」と明らかにした。
ただ彼は「わが国を尊重し友好的に接する国との多方面的な交流と協力を発展させていくだろう」ともした。金委員長が「非核化を除いた対話はできる」という意向を示唆したのと同じ脈絡で余地を残したとみられる。
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