北朝鮮の野外劇場に数百人が座っている様子。[KBS キャプチャー]
北朝鮮専門メディアのデイリーNKは25日、黄海北道(ファンヘブクド)の消息筋の話として、「9月中旬に沙里院市(サリウォンシ)文化会館で違法豊胸手術事件の公開裁判が開かれた」と報道した。この席には手術を執刀した男性と手術を受けた20代の女性2人が出廷した。裁判では手術道具、輸入シリコン、札束などの証拠品が公開された。
手術を執刀した男性は医大外科専攻中退者だった。彼は中国から持ち込んだシリコンを利用して自宅で違法手術をしてきたという。
市安全部は最近中央からの指示で違法整形の取り締まりに着手し、密かにうわさが出ていた家を偽装潜入捜査の末に摘発した。
裁判で2人の女性は「見た目を良くしたい一心で手術を受けた」と述べたが、検事は「社会主義制度で暮らす女性たちがブルジョアの風習に染まり資本主義の腐った行為をした」と批判した。判事もやはり「虚栄心にとらわれ社会主義制度を蝕む毒草になった」として重刑を予告した。
現場では女性らの身体状態を直接確認する手続きまで進められ住民らに衝撃を与えたという証言も出てきた。消息筋は「女性らは顔を上げられないまま屈辱を受けた」と伝えた。安全部は今回の事件を契機に整形疑惑がある女性らを集中検診するという方針を立てたという。
北朝鮮の公開裁判は単純な司法手続きというより、住民らに恐怖心を与えて「非社会主義行為」のレッテルを貼る政治的宣伝の性格が強い。最近国連の報告書でも北朝鮮が新型コロナウイルスの流行後に規制を強めて公開裁判と公開処刑を再び増やしているという指摘が出ている。
国連のエリサベス・サルモン北朝鮮人権特別報告官はジュネーブで開かれた国連人権理事会に提出した報告書で、「北朝鮮の人権状況はこの1年間でさらに悪化した。特に多くの法律が死刑条項を含んでおり、公開裁判と処刑が再導入された」と明らかにした。報告書には中国から強制送還された女性らが公開裁判直後に処刑されたという事例も含まれた。
国際社会では今回の事件をめぐり、北朝鮮が住民統制に向け女性の身体と私生活まで政治的に活用しているという批判が提起されている。
この記事を読んで…