20世紀初め、紡織機製造からスタートした日本のトヨタ自動車が25日、新しい経糸と緯糸を織り始めた。東京から100キロの距離にある静岡県の工場跡地に建設した「ウーブンシティ(Woven City)」を公式的に始動した。実際に人々が居住する地域で自動運転電気自動車、AIロボット、ドローンが運行しながらデータを収集する実験室都市であり、水素・太陽光など無炭素エネルギーで運営されるAI都市だ。ウーブンシティの地下を通る道路では自動運転物流ロボットがゴミを処理し、郵便物も配達する。現在「インベンター」と呼ばれる大企業・研究機関・スタートアップなど革新家とトヨタ職員・家族など約300人が入居し、今後2000人まで増やす計画という。
トヨタはなぜこのような都市を作ったのだろうか。公式説明はこうだ。トヨタが長期間蓄積した製造ノウハウ、この都市を設計した子会社WbyTのソフトウェア力量、各インベンターの専門性を結合して新しい革新と社会的価値が誕生する「カケザン」を目指すという。
また、この都市を企画した豊田章男トヨタ自動車会長はこのように語った。「一人ではカケザンができない。共にする企業が必ずなければいけない」。創業3世の豊田会長は5年前にウーブンシティ構想を公開して以降、この実験に参加する企業を求めてきたという。現在も募集中だ。空気中の花粉をなくす技術を研究する協力会社、コーヒーが創意性と生産性に及ぼす影響を研究するコーヒー会社、データを活用して革新的な教育をする教育専門会社がウーブンシティに参加する。日本式AI革新を研究する企業都市の誕生だ。
この試みが成功するかどうかは誰にも分からない。それでもトヨタはやらなければいけないということを知っている。電気自動車でも自動運転技術でも中国・米国企業に劣勢のトヨタが世界1位に安住していれば遠からず後退していくからだ。注目される点は、そのような挑戦をするという企業が日本にはあり、その挑戦を具現する環境を日本が整えたというところにある。
日本は2023年に道路交通法を全面的に改正し、一定の条件下で完全無人走行が可能な自動運転「レベル4」が解除された。高齢化と人口減少で自動運転を必須インフラ技術と見始めた日本は迅速に動いた。韓国は技術を持つ企業が多いが、数年間にわたり制限された区域での実証試験ばかりを繰り返してきた。
そして最近になって「AI3大強国」を目標とする李在明(イ・ジェミョン)政権がウーブンシティと似た計画を立てた。16日に公開された123件の国政課題のうち31番目に「未来モビリティーとK-AIシティ実現」が登場した。主務部処は5年前にモビリティースタートアップ「Tada」の実験を阻止した国土交通部だ。トヨタvs国土交通部、勝算はあるだろうか。
企業が喜んで参加するほどのAI実験都市を韓国国内でも建設するには、政府は冴えない先鋒でなくきめ細かな後援者、疲れを知らないサポーターズでなければならない。企業が先頭に立って「AI都市」を企画するように全権を与え、政府と地方自治体は従来の規制から完全に抜け出すことができる特別法と迅速な行政支援、破格的税制優遇とデータセンターなどのインフラを先に提供する強固な後ろ盾にならなければいけない。
政府のAI予算投入は呼び水として必要だが、何か不安な兆候も感じられる。歴代政権の多くの国策事業のようにAIプロジェクトに配分された血税も地方自治体の予算確保競争の中で消えるのではないだろうか。過去の革新都市のように。地域均衡発展を目標に公共機関を地方に移転し、全国に革新都市10カ所を造成したが、20年が経過してもこれら都市が該当分野の革新中心地になったという話は聞こえない。国民年金公団を全州(チョンジュ)に移転したとはいえ全州が韓国の金融ハブになるのは難しいからだ。
こうした点で最近の蔚山(ウルサン)の実験が注目される。製造業都市の蔚山にSKグループがアマゾンウェブサービスとともにAIデータセンターを建設し、蔚山を「製造AIのハブ」に育成するという。一日で出てきたアイデアではない。長期間沈滞した造船業に続いて石油化学の不況までが襲った蔚山では3年前から地域商工会議所とSKが蔚山フォーラムを主催し、地域の持続可能な成長について悩んできた。産業化時代の遺産(大企業)が多い蔚山は運が良かった。
問題は国内にこのような地方都市がいくつもないという点にある。多くの地域は製造業の空洞化で主力産業が何かも明確でない広域地方自治体もある。地域均衡発展という長い間の宿題を解決するためにも、AIを成長の土台とするためにも、国内に「より多くの蔚山」が必要だ。トヨタのように企業が新しいカケザンに挑戦できるよう土台を築く政府の役割を期待する。
パク・スリョン/産業部長
トヨタはなぜこのような都市を作ったのだろうか。公式説明はこうだ。トヨタが長期間蓄積した製造ノウハウ、この都市を設計した子会社WbyTのソフトウェア力量、各インベンターの専門性を結合して新しい革新と社会的価値が誕生する「カケザン」を目指すという。
また、この都市を企画した豊田章男トヨタ自動車会長はこのように語った。「一人ではカケザンができない。共にする企業が必ずなければいけない」。創業3世の豊田会長は5年前にウーブンシティ構想を公開して以降、この実験に参加する企業を求めてきたという。現在も募集中だ。空気中の花粉をなくす技術を研究する協力会社、コーヒーが創意性と生産性に及ぼす影響を研究するコーヒー会社、データを活用して革新的な教育をする教育専門会社がウーブンシティに参加する。日本式AI革新を研究する企業都市の誕生だ。
この試みが成功するかどうかは誰にも分からない。それでもトヨタはやらなければいけないということを知っている。電気自動車でも自動運転技術でも中国・米国企業に劣勢のトヨタが世界1位に安住していれば遠からず後退していくからだ。注目される点は、そのような挑戦をするという企業が日本にはあり、その挑戦を具現する環境を日本が整えたというところにある。
日本は2023年に道路交通法を全面的に改正し、一定の条件下で完全無人走行が可能な自動運転「レベル4」が解除された。高齢化と人口減少で自動運転を必須インフラ技術と見始めた日本は迅速に動いた。韓国は技術を持つ企業が多いが、数年間にわたり制限された区域での実証試験ばかりを繰り返してきた。
そして最近になって「AI3大強国」を目標とする李在明(イ・ジェミョン)政権がウーブンシティと似た計画を立てた。16日に公開された123件の国政課題のうち31番目に「未来モビリティーとK-AIシティ実現」が登場した。主務部処は5年前にモビリティースタートアップ「Tada」の実験を阻止した国土交通部だ。トヨタvs国土交通部、勝算はあるだろうか。
企業が喜んで参加するほどのAI実験都市を韓国国内でも建設するには、政府は冴えない先鋒でなくきめ細かな後援者、疲れを知らないサポーターズでなければならない。企業が先頭に立って「AI都市」を企画するように全権を与え、政府と地方自治体は従来の規制から完全に抜け出すことができる特別法と迅速な行政支援、破格的税制優遇とデータセンターなどのインフラを先に提供する強固な後ろ盾にならなければいけない。
政府のAI予算投入は呼び水として必要だが、何か不安な兆候も感じられる。歴代政権の多くの国策事業のようにAIプロジェクトに配分された血税も地方自治体の予算確保競争の中で消えるのではないだろうか。過去の革新都市のように。地域均衡発展を目標に公共機関を地方に移転し、全国に革新都市10カ所を造成したが、20年が経過してもこれら都市が該当分野の革新中心地になったという話は聞こえない。国民年金公団を全州(チョンジュ)に移転したとはいえ全州が韓国の金融ハブになるのは難しいからだ。
こうした点で最近の蔚山(ウルサン)の実験が注目される。製造業都市の蔚山にSKグループがアマゾンウェブサービスとともにAIデータセンターを建設し、蔚山を「製造AIのハブ」に育成するという。一日で出てきたアイデアではない。長期間沈滞した造船業に続いて石油化学の不況までが襲った蔚山では3年前から地域商工会議所とSKが蔚山フォーラムを主催し、地域の持続可能な成長について悩んできた。産業化時代の遺産(大企業)が多い蔚山は運が良かった。
問題は国内にこのような地方都市がいくつもないという点にある。多くの地域は製造業の空洞化で主力産業が何かも明確でない広域地方自治体もある。地域均衡発展という長い間の宿題を解決するためにも、AIを成長の土台とするためにも、国内に「より多くの蔚山」が必要だ。トヨタのように企業が新しいカケザンに挑戦できるよう土台を築く政府の役割を期待する。
パク・スリョン/産業部長
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