郵便局も混乱。29日午前、ソウルの光化門郵便局で職員が無人郵便受付機に国家情報資源管理院の火災による障害発生の案内文を貼っている。[写真 ニュース1]
忠清北道で韓菓会社を運営するイさんは茫然自失だと話した。秋夕(チュソク、中秋)のかき入れ時を控え郵便局のオンライン通販サイトが数日にわたりサービスを停止しているためだ。26日に発生した国家情報資源管理院大田(テジョン)本院火災の余波だ。
イさんの韓菓会社は20年近く名節ギフトセットの大部分を郵便局のオンライン通販サイトで販売してきた。ところが今回の事故で韓菓1000箱、数万個の韓菓を廃棄しなければならない状況だ。イさんは中央日報に「例年の販売量を考慮して注文を受けてからすぐ発送できるように夜を徹して韓菓1000セットを作っておいた。積み上げられた韓菓を見れば腹立たしくなる」と話した。彼は3000万ウォン分の材料と1200万ウォン分の韓紙製包装箱をつけ払いで購入して秋夕を準備してきた。イさんは「代金をどのように調達すればいいのか、逃げ出したい心境だ」と吐露した。続けて「旧正月・秋夕名節の商売で1年分を稼ぐのに来年の旧正月までどのように耐え忍ばなくてはならないのか先が見えない」と付け加えた。
郵便局オンライン通販に出店する小商工人の被害が急速に拡大している。29日に郵便サービスは一部再開されたが、郵便局オンライン通販サイトは26日から4日にわたりアクセスすることすらできない状態だ。郵政事業本部関係者はこの日、「オンライン通販サイトはいつ復旧するのかわからない」と話した。
◇郵便局宅配照会中断…どこにいるのかいつ到着するかわからない
現在郵便局オンライン通販サイトに出店する業者は1万5000社以上で、地域特産品や季節食品など名節に需要が急増する食品販売者が大部分だ。
郵便局オンライン通販サイトに出店する忠清南道(チュンチョンナムド)ののり製造販売業者も苦しい状況になった。業者関係者は「火災発生直前に1000件を超える注文が入っていたのに、オンライン通販サイトにアクセスできないため注文者の連絡先や住所を調べる方法がなく、別の宅配で発送することもできない。取り逃した注文まで合わせるならば1億ウォン台になるだろう」と話した。慶尚北道尚州(キョンサンブクド・サンジュ)の干し柿生産者は「郵便局オンライン通販サイトが主要販売ルートなのに、秋夕の書き入れ時に注文を1件も得られずにいる。今年の秋夕の稼ぎは失ったようだ」と話しながらため息をついた。
ある出店業者は「出店手数料だけでなく、郵便局の秋夕案内パンフレットに掲載する広告費用だけで270万ウォン払ったが商売ができなくなった」として悔しさをにじませた。今後出店企業が郵政事業本部を相手取り損害賠償請求訴訟に出る可能性もある。
郵便局宅配と契約したオンライン通販事業者も困りきっている。この日から郵便局訪問受付時には宅配発送が可能になったが、配送照会サービスがすべて中断され、送り状もすべて手書きで作成しなければならない。また、生鮮食品をはじめ、着払い、安心小包、米国行き国際スピード郵便(EMS)の非書類郵便物受付はいつ再開されるかわからない状況だ。
29日午前9時、大田市(テジョンシ)西区のある郵便局。50代初めの女性が宅配窓口で語気を強めて職員に抗議した。外国に送ろうとする宅配受付がまともにされていないという理由だった。「(システムが)正常に戻ってからいくらもたっていない。少しだけ待てば処理される」という職員の説明にも女性の声は収まらなかった。すぐそばの宅配無人受付機には「システムエラー受付不可」という案内文が貼られていた。26日までは無人受付機を通じて送ることができた宅配は郵便局職員の手を経なくては受付ができなくなった。幸い前日までサービスが中断していた現金自動預払機(ATM)は正常に作動した。この日午前、ソウルの竜山(ヨンサン)郵便局ではサーバー交換によりすでに発送された郵便物の配送状況が確認できないという案内文が貼られていた。小包を整理していたある配達員は「生鮮食品受付が減ったようだ」としながらも「通常は週末直後である月曜日より火曜日の郵便物が多く、あすから混乱が大きくなりそうだ」と話した。
この日オンライン販売者のコミュニティには「何日か前に発送した郵便局宅配の追跡ができず、顧客に受け取りの確認をいちいちしなくてはならない」「郵便局の送り状を100枚以上手書きしたので腕が落ちそうだ」などの経験談があふれた。
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