韓国政府世宗庁舎の企画財政部。[写真 企画財政部]
関係官庁によると、26日の国会本会議で議決された企画財政部分離案は来年1月2日から施行される。企画財政部も本格的な組織分離作業に着手した。企画財政部はそれぞれ分離する組織の実務責任者となるイ・ヒョンイル第1次官とイム・ギグン第2次官を中心に特別作業班を設けて人事異動案を話し合っている。
細部案をどのように立てるにしても企画財政部の力は落ちる。当初政府と与党は企画財政部を分離するが、財政経済部が金融委員会の金融政策機能を吸収し、経済政策、税制、国庫、金融を総括する案を推進した。大規模官庁の企画財政部の権限を分散しながらも金融機能を補完して経済指令塔としての役割は続けさせる構想だった。だが金融分野の組織改編が白紙化され財政経済部には税制、マクロ政策、外国為替機能だけ残ることになった。企画財政部内では「結局税制庁になった」「副首相の名も外さなくてはならなくなるのではないか」という自嘲混じりの声が出ている。
これに対し企画財政部は「新設される財政経済部が副首相部署として経済指令塔の役割を担うのに変わることはない」と明らかにした。だが財政経済部が出す経済政策から予算と金融が抜ければ具体性が落ちる青写真にとどまるほかない。梨花(イファ)女子大学経済学科の石秉勲(ソク・ビョンフン)教授は「経済副首相が経済政策のトップとして機能できる地位と役割いずれも減った」と話した。
2008年の発足後、企画財政部は予算と税制という本来の任務だけでなく、主要経済政策の方向を設計し、事案別に各官庁の政策を調整する役割をしてきた。最近も2020年のコロナ禍、2021年の尿素水問題、2022年のプロジェクトファイナンス不良など大型の事案が起きた時に企画財政部が交通整理をした。官庁はそれぞれの利害関係に依存的になるほかないが、企画財政部が仲裁役をして事態収拾の前面に出た。
だがもういわゆる「アメとムチ」として使える手段が失われた。ある当局者は「さまざまな官庁がかかわる大きな懸案が起きればコントロールタワー問題が出かねない。いまのような組織形態で財政経済部が実質的なリーダーシップを発揮するのは厳しいだろう」と指摘した。企画財政部牽制に注力したため政策調整の効率性を阻害する構造を作ったのではないかとの指摘だ。
タイミングも良くない。経済懸案が少なくないからだ。安定したかに見えた不動産市場は最近ソウルを中心に価格が揺れ動いている。金融委と国土交通部がそれぞれ対策を準備中だと伝えられる中で企画財政部の役割はあいまいだ。米国との関税交渉は後続協議が遅れている。ここに国家情報資源管理院火災でシステム危機まで直面している。いずれも官庁間の政策調整が重要な懸案だ。企画財政部関係者は「官庁ごとに分離化された政策が相次げば重複と混線が大きくなる恐れがある」と指摘した。
こうした構図で政府官庁を導く役割をできるのは事実上大統領室しかない。文在寅(ムン・ジェイン)政権後に大統領室の権限が次第に強大になっているのは構造的な問題点と指摘される。カトリック大学経済学科の梁俊晳(ヤン・ジュンソク)教授は「大統領室の立場では権限も大きくなったがそれだけ責任と負担も大きくなった」と指摘した。
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