23日に国連総会で李在明大統領が基調演説をする間、議場内の北朝鮮の席が空いている。キム・ヒョンドン記者
李在明政権が公式化した「核活動中断-縮小-非核化」3段階のアプローチ法と同じく「E・N・Dイニシアチブ」も最終段階は非核化に設定した。カギは北朝鮮もこれに合意させることだ。第1次トランプ政権当時に朝米首脳会談が決裂したのも北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が最後まで最終状態が非核化ということに同意しなかったためだ。
韓国政府は北朝鮮への関与が数年にわたり中断され北朝鮮の核能力が徐々に高度化されているだけに、ひとまず北朝鮮を対話のテーブルに引き出しこれを止めることを優先視する雰囲気だ。
だが最終状態に対する合意なく対話再開自体だけ急ぐならば非核化へ向かう方向性を失いかねないという懸念が出ている。
3段階アプローチ法の最初の段階と関連し、李大統領は「中断」と表現したが、韓国政府内では「凍結」という用語も混用していることをめぐり懸念が出ているのも同じ脈絡だ。過去に北朝鮮が凍結を掲げて時間を稼いで約束に違反する様相を繰り返してきただけに専門家らは凍結を「現在の核」を認める意味と解釈したりもする。
だが外交部と統一部は凍結と中断の差を尋ねる中央日報の質疑に「北朝鮮の核・ミサイル能力が高度化されるのを止めることが段階的非核化の第一歩という趣旨」として事実上同じ意味と考えるという答を出した。韓国側で先に明確に概念を規定しなければむしろ北朝鮮の欺瞞戦術に巻き込まれる恐れもあると指摘される。
統一研究院の呉庚燮(オ・ギョンソプ)選任研究委員は「出発点での北朝鮮の核活動の完全な中断、最終状態で完全な非核化に対する合意は北朝鮮を交渉テーブルに引き出すことより本質的な問題」と話した。
「E・N・Dイニシアチブ」は南北交流活性化、朝米あるいは朝日修交などを通じて北朝鮮の非核化を牽引する構造とみられる。以前の政権の北朝鮮圧迫政策が北朝鮮の核能力増強につながったという問題意識が反映されたとみられる。
問題は「E・N・Dイニシアチブ」が、構造上北朝鮮が狙う「先に補償、後に非核化」の構図に流れる恐れがある点だ。交流(E)がなされるには制裁が緩和されなければならず、北朝鮮が米国と修交するのは(N)そのまま国際社会で一流国家と認められるという意だ。こうした補償を取りまとめた後で北朝鮮が核開発に再び出るならば制御する手段がない。
これに対して魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長はこの日ニューヨークで開かれた記者懇談会で「(E・N・Dという)3種類の要素はそれぞれのひとつの過程で、それぞれ優先順位と前後関係があるものではない。相互追求する構造」と説明した。E-N-Dを順に推進するのではないとの趣旨で、補償が先に提供されることに対する懸念に線を引いたとみられる。
同時に北朝鮮が昨年から「敵対的な2つの国」の基調の下で対南断絶措置を取っている中で韓国が核交渉の当事者として参加して「持ち分」を得なければならないという指摘も出る。
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