アウトドアブランドのアークテリクス(ARC’TERYX)が9月19日(現地時間)、ヒマラヤ山脈で花火ショー「昇龍」を披露した。[写真 YouTubeの映像キャプチャー]
22日、香港サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)やシンガポールの聯合早報などによると、アークテリクスは19日、チベット・シガツェ地域の標高4600~5000メートル高地で、花火の専門家・蔡国強氏とのコラボアートイベント「昇龍」ショーを披露した。
花火はチベット伝統の五色旗を思わせる色彩で演出され、天空へ昇る龍の姿を表現した。その後、稜線に沿ってオレンジ色や白色の花火が次々と上がり壮観をなした。
しかし、映像が公開されると同時に、清浄な自然環境が破壊されるのではないかという懸念が中国のネット上を中心に広がった。高山地帯特有の繊細な生態系が損なわれる可能性が大きいという指摘とともに、一部からは「花火を打ち上げたのではなく、実質的に山を爆破したようなもの」と非難の声もあがった。
論争が拡大すると、主催側は事前承認を受けた合法的なイベントだとし、花火に使用した色素の粉末はすべて生分解性だと説明した。さらに、牧畜民の家畜をあらかじめ避難させ、げっ歯類のナキウサギ(Pika)なども区域外に逃れられるよう措置を取ったと強調した。残留物は生態学的リスクを防ぐために清掃し、植生も復元する予定だと付け加えた。
また、これまで環境保護や持続可能性を前面に掲げてきたブランドイメージと矛盾するという批判や、そもそも地方政府がどのような経緯でこのプロジェクトを承認したのかという疑問も提起された。
批判が収まらない中、結局21日にはチベット自治区シガツェ市当局が「この件を重大に受け止め、調査チームを派遣した」として現地調査を開始した。当局は調査結果に基づいて法的手続きを進めると明らかにした。
アークテリクスは宣伝映像を削除したうえで、ソーシャルメディアの微博(ウェイボー)に謝罪文を掲載した。2008年北京オリンピック(五輪)の花火を総括した専門家である蔡氏も頭を下げた。
ただし、アークテリクスの中国語版と英語版の謝罪文の内容が異なり、論争はその後も続いた。中国語版は「大衆の批判を通じ、芸術表現の境界に関する評価はより専門的であるべきで、自然に対する謙虚な気持ちと尊重の姿勢が必要だと悟った」としたが、英語版は「芸術家および中国チームと意思疎通を行っており、類似の状況を避けるため業務のやり方を調整している」としていた。これに対して現地メディアは、アークテリクスが責任を回避するような態度を示していると批判した。
中国共産党機関紙・人民日報はソーシャルメディアでの論評を通じて「花火が消えた後に残るべきは謝罪だけでなく、環境保護のための行動でなければならない」と指摘し、官営の新華通信は今回の件について「最後まで徹底的に調査すべき」と強調した。
アークテリクスは1991年にカナダで設立された。2019年には中国のスポーツブランド安踏集団が親会社フィンランドのアメアスポーツを買収した。
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