「2人だけ産んで立派に育てよう」というスローガンもいつの間にか「2人も多い」に変わった。[中央フォト]
3度目は2020年だ。現在、韓国の人口政策はほとんどが2005年に制定された「低出産高齢社会基本法」を根拠に推進されている。この法に基づき5年単位で汎国家的中長期計画を樹立・実行する。名称に表れているように制定当時の焦点は少子高齢化だった。少子化が続くと、これは教育、内需市場、労働市場、年金、軍兵力、地域偏重など社会全般に波及した。人口政策もより包括的で総合的な接近が必要という声が高まった。
◆内国人の人口 2018年をピークに減少
2020年、政府と国会は法名を「人口政策基本法」に改め、少子化問題を越えて未来への対応と準備を強調しようとした。しかしこの法案は第24代の国会で進まず廃案となった。現在は議論もされていないようだ。ただ、部処別の少子化対策だけが続いている。
人口減少は既成事実だ。これに合わせて国家の未来を正確に設計する必要がある。そうしてこそ2030年代の混乱を防ぎ、出生率の反騰も期待できる。韓国の内国人人口は2018年をピークに減少している。減少の中心には青年と青少年がいる。特に地方の減少傾向が目立つ。政府が毎年、数兆ウォンを投入しながら地方人口の拡大を図っているが、韓国人口論の観点でみると、今後、人口がまた増える可能性はない。地方の人口増加も難しい。
あまりにも悲観的だと思うかもしれないが、事実は事実だ。人口が増加するには出生が死亡を上回らなければいけない。しかし2024年の死亡者は35.8万人で、高齢層が多いため毎年さらに増えていくはずだ。ベビーブーマーが本格的に寿命を迎えれば毎年70万人が死亡する。半面、2030年半ばまで出生率が1を超えても年間出生児は30万人を超えるのは難しい。母親になる女性が大幅に減少したからだ。地方自治体が努力しても状況を反転させるのは厳しい。昨年生まれた23.8万人のうち半分以上の54%が首都圏で出生したからだ。首都圏の出生者が地方に移動する可能性は低い。人口の分散を通して「競争の強度」を低めることがカギだが、容易なことではない。
もう人口を眺める観点を変える必要がある。人口を過去に戻そうとするばかりではいけない。すでに現実化して発生することが明白なものとして受け入れ、新たな人口の規模と構造に合う社会の作動方式と秩序を探さなければいけない。出生率の低下速度を少しでも遅らせようとする各種政府の対策(地方均衡発展、仕事と家庭の両立、住居対策など)は継続しても、新たな状況に迎える代案を探す時だ。人口は社会と市場を構成する。人口が変わるということは社会と市場が変わることを意味するが、幸い、人口の変動はほぼ正確に予測可能だ。今後変化する社会と市場に適切な対応を用意するのに必要な道具として人口が積極的に活用されなければいけない。
チョ・ヨンテ/ソウル大人口政策研究センター長
<創刊企画「大韓民国トリガー60」㉛>60年間で「出生率6→0.75」…人口の崖を防ぐ機会3度逃した(1)
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