韓国で干潟に取り残された高齢者を救助しようとして命を落とした海洋警察官、故イ・ジェソク警士の葬儀が15日、仁川(インチョン)海洋警察署で厳粛に執り行われた。イ警士は9月11日未明、通報を受けて単独で出動し、高齢者に自身の救命胴衣を脱いで着せ、けがをした足には手袋を履かせたうえで、満ち潮に巻き込まれて殉職した。[聯合ニュース]
中部地方海洋警察庁は15日午前10時ごろ、仁川市西区(ソグ)の仁川海洋警察署庁舎でイ警士の葬儀を執り行った。葬儀では呉相権(オ・サングォン)中部海洋警察庁長が葬儀委員長を務め、中部海洋警察庁葬として厳かに営まれ、遺族や同僚警官ら約1000人が参列した。イ警士は警長から警士へ1階級特進し、大韓民国玉条勤政勲章が追叙された。遺骨は国立ソウル顕忠院に埋葬された。
同日午前8時ごろ、イ警士と当直を共にしていた同僚4人は、弔問所が設けられた仁川市東区(トング)の葬儀場で記者会見を開き、規定が守られなかったと主張した。自らを救助職群だと明かしたチーム員は「イ警士は行政職群で、海上パトロールに出る他の隊員より1時間早く復帰していたが、その間に状況が発生した」とし、「海洋警察官はコンビニに行く時でさえ単独で移動することはないのに、チーム長と一緒にいたにもかかわらず、なぜ単独で出動したのか確認が必要だ」と語った。
彼らはさらに「弔問所や派出所で、派出所長とチーム長から『イ警士を英雄にしなければならないから事件に関しては口外するな』との指示を受けた」とし、「2人1組の原則が守られなかった。休憩時間が違っても非常ベルを押しさえすれば一緒に対応できたはずだが、派出所に復帰した後も状況を正確に伝えられず対応が遅れた」と述べた。続けて「状況室に適切な報告がなされなかった点など、すべての経緯に対して明確な調査が必要だ」と付け加えた。
これに対し海洋警察は「遺族には防犯カメラ、無線録音、ドローン映像などすべての事故関連資料を提供した」とし、「(事実を隠そうとしたという彼らの主張は)事実無根だ」と反論した。
イ警士は11日午前2時7分ごろ、ドローンパトロール業者から「仁川市甕津郡霊興面(オンジングン・ヨンフンミョン)コッ島の干潟に人が取り残されている」との通報を受け、単独でパトカーを運転して出動した。取り残されていた高齢者は素手で潮干狩りをしていたことが確認された。海洋警察庁訓令「派出所および出張所運営規則」には「パトカーはやむを得ない場合を除き2人以上が乗車することを原則とする」と規定されている。ただし救助任務において2人1組で行わなければならないという別途の規定はないと、海洋警察側は説明した。
海洋警察は葬儀直後、「2人1組の原則をなぜ順守できなかったのか、故人と連絡が途絶えた後、同僚たちはなぜ迅速かつ適切な対応ができなかったのかなど、明らかにすべき点が多い」とし、「真相調査団を通じて明確に解明する」と発表した。
大統領室の姜由楨(カン・ユジョン)報道官はブリーフィングで「李在明大統領は初動対応において不十分な点や対応の遅れがなかったかを改めて確認した」とし、「遺族や同僚の無念が残らないよう、外部で厳正に調査するよう指示した」と述べた。
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