9月4日、米ジョージア州の現代自動車とLGエナジーソリューションのバッテリー合弁工場建設現場はあっという間に凍りついた。ヘリコプターが爆音をまき散らす中で重武装した要員がドローンや軍用車両などを利用して急襲した。戦時作戦を彷彿とさせた。「低電圧作戦」と名付けられた今回の作戦は米移民・関税執行局(ICE)と国土安全保障捜査局(HSI)、麻薬取締局(DEA)、連邦捜査局(FBI)などが総動員された過去最大規模の不法移民取り締まりだった。475人が取り締まられ、このうち317人が韓国人だった。炎天下で汗を流しながら取り調べられた韓国人は手と足、腰を鎖につながれて拘禁施設に連れて行かれた。幸いにも彼らは拘禁されてから8日ぶりにチャーター機に乗り故国の地を踏んだ。
韓国人の反応は時間が経つほど深刻化した。最初に取り締まり内容が知らされた時は「これはどういうことだ」という単純な疑問が先に立った。だが実に300人を超える韓国人が大企業の投資現場で取り締まられたという話に驚き、韓国人が鎖に縛られて連行される動画を見た時は衝撃を超え侮辱感まであった。韓国人社会では「米国に雇用を作って先端施設投資をしたのに一瞬で犯罪者扱いされた」という嘆きが流れ出た。
米国当局が明らかにした理由は単純だった。「不法滞在取り締まり」。しかし単純な法執行だけでは説明しにくい部分が多い。米国内の全不法滞在者約1400万人のうち韓国人が占める割合は1%ほどに過ぎない。それでも連邦政府関係機関を総動員した取り締まりで韓国人がスケープゴートになった点は首をかしげさせる。しかも取り締まり現場は現代自動車とLGエナジーソリューションの未来技術が集約されたところだ。取り締まられた韓国人の大部分は密入国者ではなく、工期を合わせるために工場に短期派遣された専門人材だった。ところが「ビザの目的と実際の業務の不一致」という理由で数百人を大量に拘禁した。
専門家は今回の事件を政治・経済の脈絡の中で理解する。まず2026年の中間選挙を控えて反移民感情が高まった米国内の雰囲気を考慮しなければならないと説明する。トランプ政権は反移民基調を支持層結集に積極的に活用する。今回の大規模取り締まりは単純な法執行を超えた政治イベントの性格が大きい。支持層結集と外国企業に対する警告という2匹のウサギを狙ったと分析される。そうだとしてもなぜ最も積極的に対米投資に出る韓国企業を狙ったかという疑問がある。
米国と韓国は7月30日に関税交渉で大きな枠組みで合意したがまだ文書化できずにいる。両国は韓国の対米3500億ドルの投資パッケージをどのように構成し、利益をどのように配分するのかをめぐり溝が大きい。そこで今回の取り締まりが膠着状態におちいった交渉で韓国を圧迫する効果を狙ったという分析も出ている。ラトニック米商務長官は11日、「米国と大きな枠組みで合意した通りに受け入れるか関税を合意前の水準で出さなければならない」と韓国を圧迫した。また、一部では韓国の中国戦勝節記念式出席を契機に韓国政府に警告を送ったと主張したりもする。米中対立構造で同盟国の「バランス外交」のジェスチャーは米国に不快感を与えかねないという説明だ。
理由がどうあれ今回の事件は韓国人にとっては尊重されなかったという大きな傷を残した。だがこうしたことは強大国に囲まれた韓国にはいつでも再発する可能性がある。韓国の輸出の18.7%が米国、19.5%が中国に向かう。米国と中国にだけで38%近く依存するというのは、両国関係が揺れる時に韓国経済も同時に揺れるという意味だ。2つの強大国に依存的な輸出構造は綱渡りをする軽業師と同じだ。貿易もリスクだ。経済安保は選択ではなく生き残りの問題だ。特定国に過度に依存しない多角化された貿易構造を作ること、これが経済安全保障の第一歩だ。
キム・チャンギュ/経済産業エディター
韓国人の反応は時間が経つほど深刻化した。最初に取り締まり内容が知らされた時は「これはどういうことだ」という単純な疑問が先に立った。だが実に300人を超える韓国人が大企業の投資現場で取り締まられたという話に驚き、韓国人が鎖に縛られて連行される動画を見た時は衝撃を超え侮辱感まであった。韓国人社会では「米国に雇用を作って先端施設投資をしたのに一瞬で犯罪者扱いされた」という嘆きが流れ出た。
米国当局が明らかにした理由は単純だった。「不法滞在取り締まり」。しかし単純な法執行だけでは説明しにくい部分が多い。米国内の全不法滞在者約1400万人のうち韓国人が占める割合は1%ほどに過ぎない。それでも連邦政府関係機関を総動員した取り締まりで韓国人がスケープゴートになった点は首をかしげさせる。しかも取り締まり現場は現代自動車とLGエナジーソリューションの未来技術が集約されたところだ。取り締まられた韓国人の大部分は密入国者ではなく、工期を合わせるために工場に短期派遣された専門人材だった。ところが「ビザの目的と実際の業務の不一致」という理由で数百人を大量に拘禁した。
専門家は今回の事件を政治・経済の脈絡の中で理解する。まず2026年の中間選挙を控えて反移民感情が高まった米国内の雰囲気を考慮しなければならないと説明する。トランプ政権は反移民基調を支持層結集に積極的に活用する。今回の大規模取り締まりは単純な法執行を超えた政治イベントの性格が大きい。支持層結集と外国企業に対する警告という2匹のウサギを狙ったと分析される。そうだとしてもなぜ最も積極的に対米投資に出る韓国企業を狙ったかという疑問がある。
米国と韓国は7月30日に関税交渉で大きな枠組みで合意したがまだ文書化できずにいる。両国は韓国の対米3500億ドルの投資パッケージをどのように構成し、利益をどのように配分するのかをめぐり溝が大きい。そこで今回の取り締まりが膠着状態におちいった交渉で韓国を圧迫する効果を狙ったという分析も出ている。ラトニック米商務長官は11日、「米国と大きな枠組みで合意した通りに受け入れるか関税を合意前の水準で出さなければならない」と韓国を圧迫した。また、一部では韓国の中国戦勝節記念式出席を契機に韓国政府に警告を送ったと主張したりもする。米中対立構造で同盟国の「バランス外交」のジェスチャーは米国に不快感を与えかねないという説明だ。
理由がどうあれ今回の事件は韓国人にとっては尊重されなかったという大きな傷を残した。だがこうしたことは強大国に囲まれた韓国にはいつでも再発する可能性がある。韓国の輸出の18.7%が米国、19.5%が中国に向かう。米国と中国にだけで38%近く依存するというのは、両国関係が揺れる時に韓国経済も同時に揺れるという意味だ。2つの強大国に依存的な輸出構造は綱渡りをする軽業師と同じだ。貿易もリスクだ。経済安保は選択ではなく生き残りの問題だ。特定国に過度に依存しない多角化された貿易構造を作ること、これが経済安全保障の第一歩だ。
キム・チャンギュ/経済産業エディター
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