「南京東路や忠孝復興などの繁華街は夜遅くまで人々でにぎわっています。出会う企業家は余裕資金の投資先を紹介してくれと話します」。
最近取材のために会ったサニーコンソルティングのキム・ジュンヒョン代表は「過去韓国経済が好調だった時のソウルと似ている」と台湾・台北の雰囲気を伝えた。彼は台湾で大学を卒業し、20年以上にわたり台湾を行き来しながら事業を続けてきた台湾通だ。キム代表は「台湾の企業家は韓国への競争心理があったが、いまは韓国を1段階格下に見る感じを受ける」ともした。
台湾政府の発表を見ればうなずける。台湾は先月、今年の国内総生産(GDP)成長見通しを当初の前年比3.10%から4.45%に1.35ポイント引き上げた。韓国の0.9%と比べ成長率格差はさらに広がった。台湾は来年2.81%成長し韓日に先立ち1人当たりGDP4万ドル時代(4万1019ドル推定)を開くと予想した。
事実、台湾経済が注目されたのは比較的最近だ。2003年に韓国に1人当たりGDPを逆転された台湾は2008年の世界的金融危機後にIT競争力まで遅れをとり、「アジアの4頭の竜」の中で最弱に転落した。
2016年を台湾復活の出発点で見る専門家が多い。民進党の蔡英文総統の執権初年度だ。政治的には進歩性向が目立ったが、蔡総統は経済では親企業・親市場を掲げた。「技術が台湾安保の保障弁」「民間企業が雇用創出の主人公」というスローガンで企業の競争力を引き上げた。産業団地に金融・税制・用水・電力・人材支援をまとめたパッケージインセンティブを提供した。業界が半導体の人材供給不足を訴えると大学に半導体を専攻する学生を1年ではなく6カ月に1回ずつ選抜するようにした。
産業構造も大企業を中心に枠組みを組み直した。かつて韓国の一部進歩学者が台湾のように中小企業中心の国が良い経済構造だとして「大企業解体論」を掲げたが、いまでは「韓国は大企業、台湾は中小企業中心」というのは昔話だ。現在台湾にはTSMCだけでなくアップルの機器を独占生産するフォックスコン、モバイルAPでシェア世界1位のメディアテック、アジア最大民間石油化学グループのフォルモサプラスチックなど世界的な大企業が並んでいる。
調べてみれば「2016年の台湾」と「2025年の韓国」は妙に似ていた。当時の台湾はいまの韓国のように輸出鈍化と内需沈滞の沼に落ちた。台湾は限界にぶつかった感じ、韓国は前に進む感じだったのに、主語だけ変えれば両国の経済は9年の時差を置いてそっくりだ。
政治的には保守政党を押して進歩政党が再執権した初年度という共通点がある。蔡英文に続き頼清徳現総統まで民進党は2016年から政権を維持している。「進歩は成長より分配を重視する」という通念を破り、実用主義に立った親成長政策を展開したおかげで台湾経済の体質改善を成し遂げたという評価を受ける。李在明(イ・ジェミョン)大統領もいわゆる「モクサニズム」「チャルサニズム」のような成長と実用主義を政策基調に掲げている。既存の韓国進歩政権とは毛色が異なる。
平行理論が作動するならば韓国経済は今年、9年前の台湾のように再跳躍の基盤を用意するだろう。だが最近の政府・与党の動きを見れば無駄な皮算用との思いを消すことはできない。違法スト助長の懸念が高い労働組合関連法改正案、大株主の経営権を脅かす商法改正案など反企業法案を強行してだ。自社株消却義務化を骨子とする商法改正など立法のテーブルに上がった別の企業締めつけ法案も多い。
「起業するのに良い環境」では両国の間隙はすでに明確に広がっている。台湾の法人税最高税率は20%で来年から25%となる韓国に比べ大きく低い。韓国の地方税まで考慮すれば格差は7.5ポイントだ。労働環境を見ても台湾は労働者派遣対象に制限がなく、延長労働時間も韓国より柔軟に適用する。企業が経営状況に合わせて人材を活用できる。台湾では3~4年で完成する半導体新工場が韓国はあらゆる規制と地域の請願で7~8年かかるのが現実だ。
2016年の蔡英文総統の就任辞には「経済」という言葉が31回も出てきた。最初の課題を「経済構造の変化」と掲げ、「新しい成長動力を活性化してこそ経済沈滞を克服できる。輸出と内需を軸に企業の生産と民生が相互に利益を追求し、対外貿易と地域経済を緊密に連係する」とした。
韓国政府は蔡前総統の就任後の経済政策を参考にすると良い。進歩政権で展開した親企業・親市場政策のおかげで台湾経済の階級を引き上げた点からだ。
ソン・ヘヨン/経済部長
最近取材のために会ったサニーコンソルティングのキム・ジュンヒョン代表は「過去韓国経済が好調だった時のソウルと似ている」と台湾・台北の雰囲気を伝えた。彼は台湾で大学を卒業し、20年以上にわたり台湾を行き来しながら事業を続けてきた台湾通だ。キム代表は「台湾の企業家は韓国への競争心理があったが、いまは韓国を1段階格下に見る感じを受ける」ともした。
台湾政府の発表を見ればうなずける。台湾は先月、今年の国内総生産(GDP)成長見通しを当初の前年比3.10%から4.45%に1.35ポイント引き上げた。韓国の0.9%と比べ成長率格差はさらに広がった。台湾は来年2.81%成長し韓日に先立ち1人当たりGDP4万ドル時代(4万1019ドル推定)を開くと予想した。
事実、台湾経済が注目されたのは比較的最近だ。2003年に韓国に1人当たりGDPを逆転された台湾は2008年の世界的金融危機後にIT競争力まで遅れをとり、「アジアの4頭の竜」の中で最弱に転落した。
2016年を台湾復活の出発点で見る専門家が多い。民進党の蔡英文総統の執権初年度だ。政治的には進歩性向が目立ったが、蔡総統は経済では親企業・親市場を掲げた。「技術が台湾安保の保障弁」「民間企業が雇用創出の主人公」というスローガンで企業の競争力を引き上げた。産業団地に金融・税制・用水・電力・人材支援をまとめたパッケージインセンティブを提供した。業界が半導体の人材供給不足を訴えると大学に半導体を専攻する学生を1年ではなく6カ月に1回ずつ選抜するようにした。
産業構造も大企業を中心に枠組みを組み直した。かつて韓国の一部進歩学者が台湾のように中小企業中心の国が良い経済構造だとして「大企業解体論」を掲げたが、いまでは「韓国は大企業、台湾は中小企業中心」というのは昔話だ。現在台湾にはTSMCだけでなくアップルの機器を独占生産するフォックスコン、モバイルAPでシェア世界1位のメディアテック、アジア最大民間石油化学グループのフォルモサプラスチックなど世界的な大企業が並んでいる。
調べてみれば「2016年の台湾」と「2025年の韓国」は妙に似ていた。当時の台湾はいまの韓国のように輸出鈍化と内需沈滞の沼に落ちた。台湾は限界にぶつかった感じ、韓国は前に進む感じだったのに、主語だけ変えれば両国の経済は9年の時差を置いてそっくりだ。
政治的には保守政党を押して進歩政党が再執権した初年度という共通点がある。蔡英文に続き頼清徳現総統まで民進党は2016年から政権を維持している。「進歩は成長より分配を重視する」という通念を破り、実用主義に立った親成長政策を展開したおかげで台湾経済の体質改善を成し遂げたという評価を受ける。李在明(イ・ジェミョン)大統領もいわゆる「モクサニズム」「チャルサニズム」のような成長と実用主義を政策基調に掲げている。既存の韓国進歩政権とは毛色が異なる。
平行理論が作動するならば韓国経済は今年、9年前の台湾のように再跳躍の基盤を用意するだろう。だが最近の政府・与党の動きを見れば無駄な皮算用との思いを消すことはできない。違法スト助長の懸念が高い労働組合関連法改正案、大株主の経営権を脅かす商法改正案など反企業法案を強行してだ。自社株消却義務化を骨子とする商法改正など立法のテーブルに上がった別の企業締めつけ法案も多い。
「起業するのに良い環境」では両国の間隙はすでに明確に広がっている。台湾の法人税最高税率は20%で来年から25%となる韓国に比べ大きく低い。韓国の地方税まで考慮すれば格差は7.5ポイントだ。労働環境を見ても台湾は労働者派遣対象に制限がなく、延長労働時間も韓国より柔軟に適用する。企業が経営状況に合わせて人材を活用できる。台湾では3~4年で完成する半導体新工場が韓国はあらゆる規制と地域の請願で7~8年かかるのが現実だ。
2016年の蔡英文総統の就任辞には「経済」という言葉が31回も出てきた。最初の課題を「経済構造の変化」と掲げ、「新しい成長動力を活性化してこそ経済沈滞を克服できる。輸出と内需を軸に企業の生産と民生が相互に利益を追求し、対外貿易と地域経済を緊密に連係する」とした。
韓国政府は蔡前総統の就任後の経済政策を参考にすると良い。進歩政権で展開した親企業・親市場政策のおかげで台湾経済の階級を引き上げた点からだ。
ソン・ヘヨン/経済部長
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