9日(現地時間)、イスラエル空軍が空襲したカタール・ドーハの建物 [AFP=聯合ニュース]
◆10発の長距離地対空ミサイル動員…ハマス「指導部は生存」
イスラエル空軍による空襲は電撃的に行われた。海外の報道を総合すると、この日に出撃した15機のイスラエル戦闘機はレーダー探知範囲の外から空対地長距離ミサイルを発射し、サウジアラビアの国境を越えずに1600キロ離れたカタール・ドーハにあるハマス指導部の宿舎に10余発のミサイルを命中させた。イスラエルのハマス指導部暗殺作戦が、米国の友好国でありガザ地区停戦交渉の仲裁国であるカタールで発生したのは今回が初めてだ。ニューヨークタイムズ(NYT)によると、空襲の対象になった建物は2012年からカタールに留まるハマス指導部が停戦協定議論のためによく使用してきたところで、イスラエルは数カ月前から動線を把握して空襲を準備してきた。
イスラエル軍は直ちに「軍とシンベト(国内情報機関)はハマスのテロ組織の指導者らを狙って精密打撃を加えた」と空襲を認めた。ウォールストリートジャーナル(WSJ)は今回の空襲の意味について「停戦交渉は決裂し、イスラエルはハマスの降伏を要求していた」とし「イスラエルは安保において『レッドライン』や外交的波紋をほとんど気にしないという意図を明確に表した」と分析した。イスラエルは昨年7月にハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤをイランのテヘランで暗殺するなど、これまで国境に関係なくハマス指導部を除去してきた。
ハマスは交渉代表団を率いる政治局副議長カリル・アル・ハヤの息子を含む随行団5人とカタール軍将校1人が死亡したが、幹部らは生存したと発表した。
カタールは直ちに反発した。カタールのムハンマド首相はイスラエルの空襲後に記者会見を開き、「カタールは今回の露骨な攻撃に対応する権利があり、対応するために必要なあらゆる措置を取る」とし「国家的なテロ」と非難した。米国の同盟国のフランスと英国、ドイツなど欧州の首脳らも「容認できない」と立場を表した。国連のグテーレス事務総長も「カタールの主権に対する明白な侵害」としてイスラエルを非難した。
◆「米国がハマス指導部を意図的に集めた」 陰謀説も
ガザ地区停戦に圧力を加えてきたトランプ米大統領はむしろ追い込まれる状況となった。トランプ大統領はこの日、ワシントンで記者らに対し、イスラエルの空襲について「良い状況でない。うれしいことでない」と不快な反応を見せた。米国政府がイスラエルのカタール空襲に共謀または暗黙的に同意したという疑惑も提起された。BBCは「SNSでは、米国の停戦提案がハマス指導部を1カ所に集めて攻撃するための計略だったという推測が出ている」と伝えた。
トランプ大統領はこの日の声明で「カタール政府に『イスラエルの攻撃が迫っている』と知らせるべきといったが、すでに攻撃を引き止めるにはあまりにも遅い時点だった」と釈明した。WSJは「戦闘機が出撃した後、イスラエル軍は正確な目標に関する説明なく『ハマスに対する攻撃がある』と通知した。ミサイル発射後に目標物を類推することができた」と報道した。
トランプ大統領は「主権国家であり同盟国のカタールに一方的に爆撃を加えるのはイスラエルや米国にプラスにならない。カタールにもこうした空襲が二度と起きないはずだと確信させた」と述べた。しかし「ハマスを除去することは価値のある目標」とし、イスラエルの主張を支持した。
◆米国以外に統制不可能なイスラエル
イスラエルの奇襲空襲で、交渉によるガザ地区停戦の可能性はさらに低下したという評価が出ている。アルジャジーラ放送は「国際法を無視したイスラエルが中東の平和と国際システムに危機を招いている」とし「イスラエルの人質が解放される可能性は低下した」と伝えた。NYTは「ガザ地区に対するトランプ大統領の無計画的なガザ地区戦略のため、イスラエルに戦争ができる自由な権限を持たせることになった」と分析した。イスラエル軍はこの日、Xに「ガザシティにより大きな武力で作戦を展開する。住民は直ちに避難するべき」とし、ガザ地区の人口密集地域のガザシティに対する大規模な軍事作戦を予告した。
一方、国連安全保障理事会(安保理)は10日(現地時間)、イスラエルの空襲に関して緊急会議を開く。安保理選出国理事国として輪番議長国を務める韓国が今回の理事会会議を主宰する予定だ。この日、韓国外交部は「イスラエルの攻撃はカタールの領土主権を侵害する容認できない行為であり、政府はこの攻撃で域内の不安定がさらに悪化する可能性に重大な懸念を表す」という報道官論評を明らかにした。
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