中国の習近平主席(前列真ん中)、ロシアのプーチン大統領(左)、北朝鮮の金正恩国務委員長(右)と各国外国首脳が3日、中国北京で開かれた戦勝節軍事パレードを控えて天安門の楼上に移動している。 [EPA=新華社通信、聯合ニュース]
この日「中国人民抗日戦争および世界反ファシスト戦争勝利80周年」行事を主催したのは習近平主席だが、楼上の外交の中心には金正恩委員長がいた。朝中ロの首脳が集まったのは66年ぶりで、金委員長は過去の血盟の中国、新たな血盟のロシアと並んで楼上に立った。
10年前の70周年戦勝節と比較して変化した北朝鮮の地位が目を引く。当時、北朝鮮からは崔竜海(チェ・ヨンヘ)労働党書記が代表として出席した。中国は崔竜海書記を首脳級貴賓席に座らせて礼遇したが、そこまでだった。崔竜海書記は30人が位置する外賓席の端に座り、習主席と単独会談もできず、行事後すぐに平壌(ピョンヤン)に戻った。
最も大きな注目を浴びたのは、自由主義陣営国家の首脳のうち唯一出席した当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領だった。団体写真撮影で朴大統領は習主席夫人・彭麗媛氏の隣に立った。今回は金正恩委員長がその位置に立った。撮影後に天安門へ向かう間、朴大統領が10年前にいた習主席の左隣にもこの日は金委員長がいた。
天安門の楼上で朴大統領は習主席の右側2番目の席に、金委員長は習主席の左隣に立った。外交慣例上、右側が上席だが、習主席との距離は金委員長が近かった。習主席はプーチン大統領の次に金委員長を礼遇し、似たレベルの儀典を提供した。
習主席の左側に金委員長、右側にプーチン大統領が立つ姿は、3人が反米連帯の求心点という隠喩のようだった。3人の両側は国家首脳級の貴賓が並んだが、中国が友軍として「包摂」するために注力してきた東南アジア、中央アジア、南米などいわゆるグローバルサウス(Global South、主に南半球に位置する新興国と開発途上国)国家が大部分だった。朝中ロの主導でこれらの国々と共に米国中心の世界秩序に挑戦する構図を演出することが習主席の意図と考えられる。
米CNN放送は「金正恩委員長は周辺でなく中心に立った。習近平主席は西側に挑戦することを恐れない世界秩序を構築するため、金委員長を必須のパートナーと認識するという点を確実に見せた」と分析した。
実際、中国は朝ロと一つの勢力になることをむしろ警戒していた。ウクライナ戦争勃発後、裏ではロシアを支援しながらも、北朝鮮とロシアが軍事協力を強化して同盟関係を構築すると距離を置いた。北朝鮮に不満を隠さず、高官級の交流や公式行事まで両国間の破裂音が聞こえた。
しかしトランプ政権に入って米国の対中圧力が強まると、習主席は朝中ロ間の「新北方同盟」の復活が戦略的に有利と判断したと考えられる。中ロ関係は終始友好的に維持されてきただけに、金正恩委員長を引き込むことが反米三角連帯の最後のパズルだったということだ。
トランプ米大統領はすぐに警戒心を表した。トランプ大統領は軍事パレードの開始直後、SNSトゥルースソーシャルで習主席に向けて米国の犠牲を記憶するべきと指摘し、「反米(against United States of America)を謀議している」としてプーチン大統領、金委員長にも言及した。先月25日の韓米首脳会談では「金委員長と今年会う」と述べていたトランプ大統領が3人をまとめて非難したのだ。
国際的な地位が高まった金委員長は両手にカードを握る格好となった。ロシアには派兵をテコに戦略武器技術支援など反対給付を要求しながら安保的利益を受け、中国とも経済協力を活性化する環境が用意されたからだ。金委員長の訪中に経済分野の参謀である金徳訓(キム・ドクフン)党経済書記兼経済部長が同行したのもこれを念頭に置いた措置とみられる。北朝鮮の対中経済依存度は95%前後と推定される。
ウクライナ戦争停戦の議論が進められる中、金委員長は習主席との関係回復を通じて対ロシア一辺倒の対外政策を調整し、リスクを減らす効果も得ることができる。今後の朝米交渉再開を念頭に置いてもロシアだけでなく中国の支持を確保することが交渉力を高める効果的な手段となる。今回の訪中を通じて多くの側面で自信を高めた金委員長は核能力の高度化などを進める可能性がある。
金委員長はこの日、プーチン大統領と2国間会談もした。レセプション後に妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長まで3人が共にプーチン大統領の儀典車両アウルス・セナート・リムジンに乗って会談場所の釣魚台に移動した。会談でプーチン大統領は「特別な信頼と友情、同盟的性格」に言及しながら派兵に感謝の意を伝えた。金委員長は「ロシアを支援できるなら必ずそのようにする。これは兄弟の義務」と答えた。会談は約1時間30分ほど行われ、会談後には金委員長を見送りながら金委員長のロシア訪問を再び促した。
延世大のファン・テヒ政治外交学科教授は「金委員長は今後ロシアと偵察衛星、潜水艦、ミサイルなど軍事技術と原油支援、労働者派遣による外貨稼ぎなどを議論する可能性がある」とし「中国の立場でもトランプ政権2期目と金委員長の地位が高まる構図から、北朝鮮を再び影響圏下に置く必要があったのだろう」と分析した。
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