海洋警察のイメージイラスト
◇2カ月ぶりに船と船員解放
韓国外交部と海洋警察庁などによると、パナマ船籍の1万6000トン級の化学製品運搬船が先月解放された。取材を総合すると、同船の出港許可決定は先月15日に下され、船は上海にある造船所で整備を受けた上で22日ごろ出港した。
船には韓国人船員9人とフィリピン人船員14人が乗っててた。船が中国海域を航行中の6月23日午後7時30分ごろ、韓国人船員のうち50代の機関長と30代の機関士の2人の行方がわからなくなった。中国当局が事件の捜査を始め、船は2カ月ほど抑留された。中国の捜査は結局2人の行方を確認できないまま終了したという。
通報は失踪事件となったが、現場と周辺の調査過程では殺人事件が疑われる状況が多く確認された。機関長が船員に下す評価めぐり2人の間で対立があったという。
事件当日に船のキッチンで使われていた包丁がなくなった。機関長の部屋の内部が血に染まり、この部屋から船尾まで続く血痕も見つかった。機関長の部屋の前には「休んでいるので邪魔するな」というメモが貼られていたが、船員の陳述ではこのメモの筆跡は機関長ではなく機関士のものとみられるとの意見もあったという。
捜査が進む間、船に残った船員は深刻なストレスを受けたという。韓国外交部関係者は、「船員は海運会社の計画に基づき交代される予定と聞いている。海運会社と疎通して必要な領事助力を提供するだろう」と明らかにした。
◇捜査・捜索協力拒否…海洋警察「現場確認できず残念」
同船の人材送出と管理は釜山(プサン)の企業がしていた。この失踪事件は釜山海洋警察署にも通報された。海洋警察は中国側に捜査と捜索協力を要請したがいずれも拒否された。
海洋警察は船員に対する参考人調査を検討しているが、調査が行われてもこの事件は未解決の失踪事件となる可能性が大きい。海洋警察内部では「事件現場を確認できなかったのが最も残念」という話が出ているという。
韓国海洋大学海洋警察学部のチェ・ジョンホ教授は「殺人事件と疑われる状況があるだけで直接証拠がない事件とみられる。いま確保された証拠では失踪者2人の間の通信内容を確認するための令状を得るのも難しいだろう」と予想する。また、「韓国海域で違法操業する中国漁船問題と関連し両国が協議体を運営している。このように刑事事件でも捜査主体の間で疎通が強化されればより正確な捜査と情報共有が可能だろう」と話した。
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