石油化学企業が密集している全羅南道麗水市の麗水国家産業団地全景。[写真 全羅南道]
三逸(サミル)PwC経営研究院ががこのほどまとめた「日本の石油化学構造調整事例と示唆点」と題する報告書などによると、日本は石油化学産業の危機を「3回の大なた」で突破した。
1980年代初めに最初の構造調整が始まった。オイルショックの余波で収益性が悪化すると、日本政府は特定産業構造改善臨時措置法を制定し大なたを振るった。老朽化したり重複したナフサ分解施設(NCC)の閉鎖を命令し、企業はNCCを統合して稼動率を引き上げた。
1990年代にあった2度目の構造調整では、市場の自発的な買収合併を誘導した。産業活力再生特別措置法を導入して合併・分割企業に税制特例を与え、公正取引法審査もファストトラック(迅速処理案件)で進めた。すると企業間の「ビッグディール」が活発化した。三菱化成と三菱油化が合併して現在日本1位の総合化学企業となる三菱ケミカルが誕生した1994年もこの時代だ。汎用製品であるポリエチレン(PE)生産企業は1994年から2006年に14社から8社に、ポリプロピレン(PP)生産企業は14社から4社に減った。同時に企業は電子素材・医療機器など高付加価値製品にポートフォリオを広げた。
2000年代の3度目の構造調整の時は政府が規制緩和と税制インセンティブなどの間接支援だけ残した。企業はコンビナート統合と海外生産基地拡張で世界的競争力確保に出た。日本の石油化学企業の事業再編は現在も進行中だ。三井化学は低収益事業の構造調整に向けベーシック&グリーン・マテリアルズ事業を2027年までに分社し別の会社と統合する案を推進している。
韓国でも日本のように過剰設備を果敢に閉鎖し、高付加価値製品に多角化しなければならないということに異論はない。日本が40年かけてやり遂げた体質改善を韓国は短期間で効率的に実行し目の前の火を消さなければならない。
このためには高付加価値製品分野の研究開発にさらに集中する戦略が必要という指摘が出る。2001年から2023年まで三菱ケミカルなど日本の主要石油化学6社の売上額比の研究開発の割合は平均3.9%だったが、同じ期間の韓国のLG化学、ロッテケミカル、大韓油化、錦湖(クムホ)石油化学の4社の平均は0.9%にとどまった。
産業研究院のイ・サンウォン副研究委員は「伝統的な素材強国である日本は中小企業から高付加価値製品供給網が堅固だが、韓国はそうではない。政府が高付加価値製品の研究開発投資を積極的に支援し、同時に精密化学分野の中小企業を育てられる対策をまとめなければならない」と話した。
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