さらに大きな問題は、今後も回復の可能性が大きくない点だ。石油化学業界では「中国の設備増設により既存の業況サイクルはすでに壊れた」という評価が出ている。三逸(サミル)PwC経営研究院のイ・ウニョン常務は「中国にこれ以上製品を販売しにくくなるならば韓国は供給過剰状態に陥る。結局蔚山(ウルサン)、麗水、大山の産業団地ごとに存在するNCC設備を統廃合しなければならない」と指摘した。2021年だけでも9兆4576億ウォンだった石油化学企業10社の営業利益は昨年1兆4866億ウォンの赤字に転落した。
だが業界では自律的な構造調整は現実的に難しいという雰囲気だ。ハンファとDLが合弁した麗川NCCは先月、対立が最高水準に沸き上がった。両社とも麗川NCCで生産されたエチレンとプロピレンなど基礎製品の供給を受けているが、ダウンストリーム(完成品製造)の事業方向が違うためエチレン供給価格をめぐり争っている。大山産業団地でNCC統合を議論するロッテケミカルとHD現代ケミカルも設備価値算定などで溝を狭められずにいる。価格・生産量協議が公正取引法上の談合に問われかねない点も企業が消極的な背景だ。
このため政府が本格的な構造調整を先送りしているという批判が出ている。産業通商資源部は20日、「先に自助努力、後で支援」の原則を掲げ、年末までに各社が自助策を出すようにと明らかにした。「自律協約」名目で全生産能力の18~25%に当たる270万~370万トン規模のエチレンを縮小するという目標も提示した。だが業界では「いまと変わらない」「いっそ政府が方向性を示すべき」という声が出ている。
それでも麗水市に続き瑞山市も産業危機先制対応地域に指定するなど政府も緊急処方に入った。2027年8月までの2年間に緊急経営安定資金、地方投資促進補助金優待、中小企業に対する政策金融強化などが支援される予定だ。ただ当面の危機克服に向けた鎮痛剤の役割にとどまるだけで根本的な解決策にはならないというのが大半の意見だ。民主労総プラント建設労組麗水支部のキム・ジョンファン支部長は政府の遅れた対策に対し「石油化学不況は10年前から出ていた話なのにとても遅い」としながらも、「どうにか生かそうという意志でも確実に見せてくれれば良い」と話した。
専門家は政府のより積極的な役割を注文した。西江(ソガン)大学化学科のイ・ドクファン名誉教授は「事実上政府が3年間手をこまねいていたもの。もう政府が最小限の具体的なガイドラインを先に提示しなければならない」と指摘した。ソウル科学技術大学未来エネルギー融合学科のユ・スンフン教授も「石油元売りや石油化学社いずれも投資余力が不足した状況であるだけに、構造調整に成功した企業を選別して破格に設備投資と金融を支援するアプローチが必要だ」と話した。
すぐにできる応急処方が必要という指摘も出る。新韓投資証券のイ・ジンミョン研究員は「石油化学業界は3年にわたり赤字が続き固定費も手当てできない水準まで稼動率が落ちている。すぐに必要なことは短期流動性支援や税制優遇のような応急処方を具体化すること」と話した。続けて「累積した赤字を解消しエチレン生産縮小を通じて需給不均衡を緩和することが息の根を開く第一歩」と強調した。
韓国の石油化学工場「仕事減った」と言いながら…壁を隔てて同じ製品生産[崖っぷちの韓国石油化学業界](1)
だが業界では自律的な構造調整は現実的に難しいという雰囲気だ。ハンファとDLが合弁した麗川NCCは先月、対立が最高水準に沸き上がった。両社とも麗川NCCで生産されたエチレンとプロピレンなど基礎製品の供給を受けているが、ダウンストリーム(完成品製造)の事業方向が違うためエチレン供給価格をめぐり争っている。大山産業団地でNCC統合を議論するロッテケミカルとHD現代ケミカルも設備価値算定などで溝を狭められずにいる。価格・生産量協議が公正取引法上の談合に問われかねない点も企業が消極的な背景だ。
このため政府が本格的な構造調整を先送りしているという批判が出ている。産業通商資源部は20日、「先に自助努力、後で支援」の原則を掲げ、年末までに各社が自助策を出すようにと明らかにした。「自律協約」名目で全生産能力の18~25%に当たる270万~370万トン規模のエチレンを縮小するという目標も提示した。だが業界では「いまと変わらない」「いっそ政府が方向性を示すべき」という声が出ている。
それでも麗水市に続き瑞山市も産業危機先制対応地域に指定するなど政府も緊急処方に入った。2027年8月までの2年間に緊急経営安定資金、地方投資促進補助金優待、中小企業に対する政策金融強化などが支援される予定だ。ただ当面の危機克服に向けた鎮痛剤の役割にとどまるだけで根本的な解決策にはならないというのが大半の意見だ。民主労総プラント建設労組麗水支部のキム・ジョンファン支部長は政府の遅れた対策に対し「石油化学不況は10年前から出ていた話なのにとても遅い」としながらも、「どうにか生かそうという意志でも確実に見せてくれれば良い」と話した。
専門家は政府のより積極的な役割を注文した。西江(ソガン)大学化学科のイ・ドクファン名誉教授は「事実上政府が3年間手をこまねいていたもの。もう政府が最小限の具体的なガイドラインを先に提示しなければならない」と指摘した。ソウル科学技術大学未来エネルギー融合学科のユ・スンフン教授も「石油元売りや石油化学社いずれも投資余力が不足した状況であるだけに、構造調整に成功した企業を選別して破格に設備投資と金融を支援するアプローチが必要だ」と話した。
すぐにできる応急処方が必要という指摘も出る。新韓投資証券のイ・ジンミョン研究員は「石油化学業界は3年にわたり赤字が続き固定費も手当てできない水準まで稼動率が落ちている。すぐに必要なことは短期流動性支援や税制優遇のような応急処方を具体化すること」と話した。続けて「累積した赤字を解消しエチレン生産縮小を通じて需給不均衡を緩和することが息の根を開く第一歩」と強調した。
韓国の石油化学工場「仕事減った」と言いながら…壁を隔てて同じ製品生産[崖っぷちの韓国石油化学業界](1)
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