イエメンのフーシ派は、イスラエルの空爆で反政府勢力の首相が死亡したことを受けて直ちに報復を予告した。フーシ派は8月30日（現地時間）、「アフマド・ガレブ・アルラウィ首相と複数の閣僚が、8月28日イエメンの首都サヌアで行われたイスラエルの空爆で死亡した」と発表した。イスラエルがフーシ派指導部を狙って空爆を行ったのは今回が初めてだ。

アルラウィ氏は今回の爆撃で死亡した最高位の人物だ。イスラエルのメディアN12は「アルラウィ首相とともにいたフーシ派の国防相、参謀総長ら首脳部10人も死亡したと推定される」と報じた。


作戦名は「幸運の一撃（Operation Lucky Drop）」だった。空爆当時、彼らはアルラウィ氏が開催した政府ワークショップで、フーシ派指導者のアブドルマリク・アル・フーシ氏のテレビ演説を共に見ていた。当初は国防相や参謀総長など一部要人を標的に空爆が行われたが、その場に居合わせたアルラウィ首相を含む高位職の多数が死亡に至ったとみられる。イスラエル国防軍（IDF）関係者はイスラエルメディア「ワイネット」に「今回の空爆では『刹那の情報力』を活用した」と語った。


フーシ派最高政治評議会のマフディ・アル・マシャト議長は「我々の復讐（ふくしゅう）は決して止まらない。お前たちは暗黒の日を見ることになる」と報復を予告した。首相代行には実力者とされるムハンマド・アフマド・マフタフ第1副首相が任命された。

今回の空爆は、イスラエルとフーシ派の武力衝突が激化する中で起きた。イスラエルは8月24日、フーシ派が掌握しているイエメンの国営石油会社や発電所などを爆撃して打撃を与えた。2日前の22日、フーシ派が初めてイスラエルに対してクラスター弾（1つの爆弾に複数の爆弾を搭載）を含む攻撃を仕掛けたことへの報復だった。親イラン・反西側同盟「抵抗の枢軸」の一員であるフーシ派は、イスラエルがガザ地区での軍事作戦を中止しない限り攻撃をやめないという立場を示している。

こうした状況の中で、イスラエルが反政府勢力の指導部まで空爆したのは、フーシ派の反撃を阻止するために攻撃レベルを高める必要を感じたからだ。さらにイスラエルの最終的な暗殺標的はフーシ派指導者アル・フーシ氏に向けられているという分析が出ている。これによって「抵抗の枢軸」勢力の壊滅を達成しようというものだ。イスラエルは昨年10月と今年5月、パレスチナ武装組織ハマスの指導者であったヤヒヤ・シンワル氏と、その後任となった弟ムハンマド氏をそれぞれ殺害した。レバノン武装組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師も昨年9月に除去した。