ジョージ・ソロス氏
トランプ氏はこの日、自身のSNSに投稿し、「ジョージ・ソロス氏と彼の過激左派である息子は、全米で暴力的なデモを含む多数の犯罪を支援しており、組織犯罪対策法(RICO)に違反しているため起訴されるべきだ」と主張した。「ソロス氏と彼のサイコパス的な集団は米国に甚大な害を与えてきた」と非難した。さらに「彼のとんでもない西海岸の友達も含まれる」とし、「気をつけろ。われわれはお前たちを見張っている」と警告した。
ウォール街のヘッジファンドで巨額の富を築いたソロス氏と息子のアレクサンダー氏は、長年にわたり民主党に多額の資金を提供してきた。ソロス氏は1993年、世界中の民主主義、人権、報道の自由を支援する「オープン・ソサエティ財団」を設立し、自身の価値観に反する権威主義的・閉鎖的な勢力を厳しく批判してきた。トランプ氏をその代表的な存在にし、2016年の大統領選ではトランプ氏の対抗馬だった民主党候補のヒラリー・クリントン氏を積極的に支援した。
昨年の大統領選を前に、トランプ氏のスキャンダルをめぐる口止め金事件で起訴を決定したニューヨーク・マンハッタン地区検事アルヴィン・ブラッグ氏がソロス氏の支援を受けていたという主張が、トランプ氏とその支持者の間で広がった。最近では、強硬なトランプ支持層の間で「ソロス親子が反トランプ運動の背後にいる」との主張も出ているが、具体的な証拠は確認されていない。
オープン・ソサエティ財団はこの日、報道官名義の声明で「暴力デモの黒幕」というトランプ氏の主張に対し、「とんでもない虚偽だ」とし、「財団は暴力的な抗議活動を支援したり資金を提供したりしていない」と否定した。
また、トランプ氏がソロス氏への処罰を訴えて敵対心を露にしたのは、彼に批判的なジョン・ボルトン元国家安全保障補佐官に対して連邦捜査局(FBI)が強制捜査に乗り出したことと重なり、政治的報復ではないかという議論も巻き起こっている。
さらに、トランプ氏がワシントンD.C.の地域警察を連邦政府の管理下に置き、数百人の州兵と連邦捜査官を投入したことも議論を呼んでいる。これは「重大犯罪対策の強化」を名目としているが、一部では「近年、D.C.の凶悪犯罪率はむしろ減少傾向にある」として、別の政治的意図があるのではという分析も出ている。
昨年11月の大統領選で、D.C.におけるトランプ氏の得票率はわずか6.47%で、民主党候補だったカマラ・ハリス前副大統領は90.28%を獲得した。
トランプ政権はこの日、ワシントンD.C.の鉄道交通の中心地であるユニオン駅の管理権限も手に入れた。ショーン・ダフィ運輸長官は声明で、「ユニオン駅の管理業務を半官半民の鉄道会社アムトラック(Amtrak)から引き継いだ」と発表した。ユニオン駅では20日、副大統領のJ.D.バンス氏やピート・ヘグセス国防長官が州兵を激励し、ハンバーガーをともに食べる広報イベントを行ったが、現場では「ワシントンD.C.を解放せよ」というデモ隊からの抗議も受けた。ワシントン・ポスト紙は「トランプ氏が首都を自身の管理下に置こうと試みている」と報じた。
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