エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが5月21日、台北のホテルで開かれたグローバルメディアQ&Aで取材陣の質問に答えている。[写真 聯合ニュース]
エヌビディアは25日、最新ロボット用スーパーコンピュータ「ジェットソンAGXソー」を発売した。ブラックウェルグラフィック処理装置(GPU)基盤の「ジェットソンT5000」チップと128GB低電力DRAM、1TB容量の保存装置などをモジュール形態で結合した。以前の世代より演算性能は7.5倍、電力効率は3.5倍向上した。
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はジェットソンチップをロボット頭脳と紹介した。エヌビディアはこの日、フアンCEOがヒューマノイドロボットに「Enjoy your new brain(新しい頭脳を楽しめ)」と書かれた手紙とともに、ジェットソンAGXソースーパーコンピュータをプレゼントする動画を公開して目を引いた。プレゼントを受け取って手紙を読んだロボットが踊って喜ぶ場面が入れられた。
フアンCEOは「ジェットソンAGXソーは優れた性能とエネルギー効率、そして多数の生成AIモデルを同時に実行できる能力を備えた究極のスーパーコンピュータ。今後フィジカルAIと汎用ロボティクス時代を率いるだろう」と話した。フィジカルAIはソフトウエア形式のAIがロボットのような物理的機械に搭載され人間と相互作用して動く技術を意味する。
エヌビディアのロボット用AIチップはフィジカルAIを実現するのに必要な核心部品だ。カメラとセンサーで収集した物理現実のデータを基にAIがリアルタイムで判断してロボットの動きを制御しなければならないためだ。バッテリーで駆動するヒューマノイドロボットは電力効率もとても重要な変数だ。
エヌビディアは今回のスーパーコンピュータがヒューマノイドロボットだけでなく手術補助ロボット、スマートトラクター、産業用ロボットアーム、視覚AIエージェントなど多様なロボット分野に活用されると期待している。ロボット開発ソフトウエアツールに最適化された開発者用キットも3499ドルで発売した。
業界ではエヌビディアのロボット事業がさらにスピードを出すとみている。2~4月期のエヌビディアの電装・ロボティクス部門売り上げは5億7000万ドルで、441億ドルの売り上げ全体の1.3%にすぎないが、前年同期比で72%急増した。すでにフアンCEOは「AIの次にロボティクスが最も大きな成長市場になるだろう」として市場攻略を予告した。ゴールドマン・サックスは世界のヒューマノイドロボット市場が今年の15億ドルから2035年には380億ドルに成長すると予想した。
AIチップとソフトウエアを結合するエヌビディアの生態系掌握方式がロボティクスでも通じるか注目される。現在チャットGPT、ジェミニ、クロード、グロックなど生成AIモデルの大部分がエヌビディアのAIチップ上で駆動している。ロボットでもこうした流れは続く可能性がある。現在中国企業がロボットの関節に当たるアクチュエーターやバッテリー、ライダーセンサーなどの部品ではリードしているが、ロボットの頭脳に当たる半導体チップは米国が優位だ。エヌビディアはロボット用AIチップとこれを後押しするソフトウエア生態系を独占し「ロボット中心AIインフラ」を掌握するという構想だ。
エヌビディアのディープゥ・タッラ副社長は米CNBCとのインタビューで「われわれはロボットや自動車を直接作ることはないが、インフラ用コンピュータとソフトウエアですべての産業が可能になるようにする」と話した。
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