2014年3月30日、ハンガリー・ブダペストで開かれた「世界マスターズ室内陸上選手権」の80歳以上女性400メートル部門で、イタリアのエンマ・マリア・マツェンガさん(左)とカナダのアリス・コールさん(右)が競り合っている。[写真 EPA=聯合ニュース]
米紙ワシントン・ポスト(現地時間24日)によると、イタリア・パドヴァに住む身長155センチのエンマ・マリア・マツェンガさん(92)は、マスターズ陸上で年代別女性短距離走の世界記録を4つ保有している。
昨年1月、90歳以上の室内200メートル競走で54.47秒という世界新記録を樹立し注目を集めた。その後、同年5月の屋外200メートルでは51.47秒で再び記録を更新し、さらに6月には50.33秒(追い風+0.2m/s)と自身の記録を1秒近く縮めた。89歳のときには室内200メートルを48.98秒で走ったこともある。
ワシントン・ポストによると、イタリアと米国の科学者たちは、マツェンガさんが90代になっても走ることができる秘密を明らかにするため、筋肉・神経・ミトコンドリア(細胞内でエネルギーを生み出す器官)を研究している。これは高齢者の筋肉の変化を理解するために行われている長期研究の一環で、マツェンガさんの事例はその貴重な対象となっている。
科学者は、マツェンガさんの大腿四頭筋から鉛筆の消しゴムほどのサイズの筋肉サンプルを針で採取して調査を行った。その結果、瞬発力に関係する速筋繊維(fast-twitch muscle fibers)は健康な70代と同程度で、特別に優れているわけではなかった。
しかし、持久力に関係する遅筋繊維(slow-twitch muscle fibers)は、なんと20代の若者のように見えた。さらに、筋肉への血流や神経の伝達経路も若年層と似たような水準だった。
自転車運動やウェイトリフティングのテストを通じて心肺機能や脚の筋力を測定したところ、筋肉に酸素を供給する能力が非常に優れており、筋細胞内のミトコンドリアも20代の健康な若者と同じように非常によく保存されており、機能も高かった。ある指標では、マツェンガさんの心肺機能は50代の水準と一致することもわかった。
長年理科教師として働いてきたマツェンガさんは、若いごろに陸上をしていたが中断し、53歳で25年ぶりに走り始めた。現在は週に2〜3回、約1時間のランニング練習を行い、走らない日は散歩をしている。
彼女は「一日中室内で過ごす日はありません」と語る。コロナ禍でも、自宅の20メートルの廊下で走ったり、人通りのない夜に外で走ったりしたという。また、他の高齢者ランナーには「自分の限界をよく知り、まずは医師と相談してから走るべき」とアドバイスしている。
マツェンガさんはトレーニング前にステーキや魚、目玉焼き、少量のパスタやご飯など「とてもシンプルな食事」をとるが、走る3時間前からは食べ物を一切口にしないという。
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