先月18日午前、京畿道東豆川(トンドゥチョン)キャンプケイシーで開かれた在韓米軍循環配置旅団任務交代式で太極旗と星条旗が並んでいる。米第4師団第1ストライカー旅団(レーダー旅団)は韓半島で任務を遂行した米第7師団第1ストライカー旅団(ゴースト旅団)と交代して9カ月間、ストライカー装甲車を運用する。 聯合
「If South Korea fell,the communists would attack oother nations, resulting in World War III.」(韓国が滅びれば、共産主義者らが他の国々を攻撃するはずで、これは第3次世界大戦につながるだろう)。
我々は、米国の参戦が北朝鮮の南侵を阻止して危機の大韓民国を守ったありがたい韓米同盟の出発だと考える。米国の参戦の主な目的はグローバル冷戦が始まった時期にソ連が望んだ共産主義拡散を阻止するというものだった。米国は決して地域国家でなくグローバル国家という点を我々はよく考えなければいけない。
韓国戦争中に米国と中国が特定時点に配置した最大有効兵力は米国が約35万人、中国が約45万人にのぼる。韓国戦争が米国と中国の戦争だったといっても間違った話ではない。また、韓国戦争後に締結された韓米相互防衛条約のどこにも北朝鮮の脅威や挑発への言及はない。国際平和と太平洋地域の平和に言及されているだけだ。
米国は1956年、戦術核兵器を韓国に配備した。記録によると、1967年に最大計8種・950発の戦術核弾頭が韓国に配備された。この戦術核武器は射程距離が韓半島内に限定されたが、中国・ソ連の介入の可能性に対する抑止力も十分に考慮したものだった。秘密が解除された1974年当時の太平洋司令部の公式記録によると、群山(クンサン)飛行場に核を搭載した米空軍のファントム機が緊急核対応戦力として配備されていた。そしてこの戦力は米国の戦略的核作戦計画SIOP(Single Intergrated Operational Plan)の一部だった。SIOPは米国の核兵器を特定標的に割り当てた計画だが、これらの標的は北京・上海・ウラジオストクだった。
1995年、米国防次官補(国際安全保障担当)のジョセフ・ナイは『米国の東アジア-太平洋戦略』で、中国に関与して(engage)未来の脅威にならないよう建設的な国際社会の一員として牽引するべきだと主張した。約30年が過ぎた今、中国に対する米国の認識は完全に変わった。2022年、バイデン政権の『国家安全保障戦略書』は中国を唯一能力と意志を持つ競争者と評価した。2025年3月の『米国家情報長官室年次脅威評価』では、中国が米国の安保に最も包括的で強い軍事脅威(the most comprehensive and robust military threats to U.S.national security)とした。ヘグセス米国防長官は6月のシャングリラ会合(アジア安全保障会議)で中国が実存する差し迫った脅威だと警告した。
3月の米国防総省の『暫定国防戦略指針』に注目する必要がある。米国防総省はこの指針で、中国の台湾侵攻阻止と本土防御が米国防総省の最優先課題であり、同盟国がロシア・北朝鮮・イランなどの脅威の抑止にさらに多くの役割を果たすよう防衛費増額の圧力を加えるとしている。これは今年のトランプ政権の国防戦略に反映されるはずだ。
韓米国防長官は先月31日の電話会談で、韓米が域内安全保障環境に効果的に対応するため韓米同盟を相互互恵的に現代化することについて協議をすると述べた。続いて8日、ブランソン在韓米軍司令官はインタビューで、同盟現代化とは韓米両国が直面した過去にない作戦環境をどのように乗り越えるかを理性的に判断するものであり、安全を保障する方向なら変化をためらうべきでない主張した。
同盟現代化は韓国軍の対北朝鮮戦力増強もあるが、在韓米軍の中国を念頭に置いた現代化が含まれる。かつて韓国の国力が弱かった当時、在韓米軍の対北朝鮮脅威対応の役割が相対的に大きかったとすれば、わが軍の成長に伴って我々が北朝鮮の脅威への対応に徐々に主導権を拡大し、現在も進行中だ。ブランソン司令官が在韓米軍の数よりも能力を考えながら多領域機動部隊(MDTF、宇宙・サイバー・電子戦・長距離精密打撃など多様な領域で統合された作戦遂行を目標にすること)とF-35のような第5世代戦闘機の韓半島配備に言及した。中国の脅威が強まった状況で、中国対応のための在韓米軍の能力の変化も進行中だ。在韓米軍が他のこともできるよう同盟を現代化しながら柔軟性を発揮してほしいというブランソン司令官の要求もあった。
中国の浮上と、過去とは大きく異なる中国の脅威に対する米国の認識を考慮すると、台湾事態関連の韓国の役割についても韓米が協議しなければいけない。我々が不便だからといって避けてはいけない。台湾事態の勃発の可能性が高いか低いかは重要でない。重要なのは変化した域内戦略状況で同盟関係の安定性(放棄防止)を維持し、我々が考える安保利益(関与防止)も得ることだ。韓国は台湾事態勃発当時、対北朝鮮抑止力を確実に維持することが最も重要だ。これは台湾地域の不安定が域内の他の地域に転移するのを遮断する役割をすることであり、これは米国の利益にもつながる。ブランソン司令官が言及した在韓米軍が他のこともできるよう柔軟性を発揮することにも役立つだろう。
中国を相手にする米国にとって韓半島の戦時作戦権はどのような脈絡なのだろうか。現在、米国防総省の核心策略家として知られる政策担当次官コルビー氏の発言に注目する必要がある。コルビー氏は野党時代の昨年5月、韓国メディアのインタビューで戦作権の転換はできるだけ早い時期に行われるべきだと述べた。しかし今年3月の米国防総省政策次官承認のための公聴会の書面答弁では戦作権の転換に直答はせず、韓米同盟で韓国の役割を強化する努力を支持すると答えた。また、今月初め、ブランソン司令官は戦作権転換の条件を強調し、戦作権転換を急ぐのは韓国と米国の国益にならないと述べた。
米国は能力と役割が拡大した韓国軍を望んでいるが、韓国軍への戦作権転換が中国への対応に混乱を与える恐れがあるとみて悩んでいるのだろう。
パク・チョルギュン(株)キューシムプラスCNO/韓国核安保戦略研究院長
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