韓国GMのヘクター・ビジャレアル社長(左から2人目)が5月に昌原工場を訪れ現場を点検している。[写真 韓国GM]
ビジャレアル社長は21日、雇用労働部と造船・鉄鋼・自動車業界最高経営責任者(CEO)の懇談会で「韓国はすでに労使対立によるリスクが大きい国。本社で韓国事業所に対する再評価が行われるかもしれない」と明らかにした。当日韓国GMは政府に労働組合法改正案を再検討してほしいと正式に要請したという。
自動車業界は今回の改正が韓国GM撤退説を再び刺激する変数になるとみている。改正案はこれまで「賃金・労働条件」とされていた労組の争議行為対象を「労働条件全般」に拡大し、構造調整や事業所移転のような経営判断も争議対象に含まれることがある。
韓国GMの場合、5月末に直営サービスセンター9カ所の売却計画が発表されると労組が強く反発した。以前にも賃金と団体協約交渉過程でストが繰り返され生産への支障が多かった。財界関係者は「今回の法改正で労使対立の水準がさらに高まるならば韓国GMの経営不確実性がさらに大きくなりかねない」と話す。この日韓国GM労組関係者は「会社側が資産売却などにだけ集中し、新車発売や労組との交渉など韓国事業所の未来を考える姿を見せずにいる」と話した。
GMの韓国撤退説は過去にも何回も提起された。しかし今回は悪化した経営状況まで重なり本当に撤退しかねないとの見通しが強まっている。米国の自動車関税施行が決定的だった。米国政府が4月から輸入車に25%(韓国は15%に調整予定)の関税を課し、韓国は韓米自由貿易協定(FTA)を通じた無関税の恩恵を失うことになった。対米輸出の割合が90%を占める韓国GMには直撃弾だ。内需基盤が弱い韓国GMは年間販売台数のうち韓国での割合は5%ほどで、2024年基準で2万4824台にすぎないが、これすらも減少傾向だ。内需売り上げは昨年1兆ウォンを割り込んだ。
こうした状況でGMと産業銀行が2018年に締結した「10年残留の約束」も2027年末に満了する。2018年の群山(クンサン)工場閉鎖で韓国撤退説がふくらむと韓国政府は産業銀行を通じて8100億ウォンの公的資金を韓国GMに投入し残留を誘導した。雇用を守るためだった。
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