台湾の頼清徳総統(左から2人目)が先月14日、中国の侵攻の可能性に備え高雄で開かれた訓練でドローンが撮影した映像をモニターでチェックしている。[写真 EPA=聯合ニュース]
台湾政府によると、台湾国防部は2026年に1万1270機、2027年に3万7480機の米国製ドローンを購入する予定だ。操縦範囲が6キロメートル、滞空時間が7分の小型ドローンから、100キロメートル以上、2時間30分の大型ドローンまで5種類のドローンを購入する予定だ。ただこれらのドローンは中国製部品を使ってはならず、中国本土と関連してはならない。
購入したドローンは多様な任務遂行に使われる予定だ。台湾政府は14日に国防産業成果報告を通じ小型武器を搭載して標的を打撃する「自爆ドローン」を含め、大型爆弾を目標物に精密投下できるドローン、高性能の偵察ドローンなど5つのモデルを開発中だと明らかにした。
台湾がドローン戦力を育てるのはドローンを弾薬のような消耗性武器として使おうとする考えのためだ。台湾陸軍関係者は「軍がドローンをどのように活用するかにより弾薬として扱われる」と明らかにした。
ウクライナ戦争を通じて明らかになったドローンの重要性がこうした動きを呼んだ。台湾の軍事専門メディア、ディフェンスインターナショナルの陳国銘編集長は「ロシアとウクライナの戦場で毎日2000機のドローンが消耗している。いまやドローンは小銃の銃弾と同じように消耗品として扱われなければならない」と話した。
台湾国防部傘下国防安全研究院(INDSR)の研究員も「軍事的用途に改造した商業用ドローンは費用が安いだけでなく最前線の軍人に障害物の後の目標物を攻撃したり、1~2キロメートル前方にいる敵の動きを見るのに大きく役立つ」と話した。米国も7月から小型または中型ドローンを消耗性武器として分類することにした。
台湾ドローン戦力のターゲットは当然中国だ。中国が侵攻する場合、台湾は米国とともにドローンをはじめとする無人戦力を大規模に動員して防衛に出る考えだ。いわゆる「無人地獄絵図戦略」だ。米インド太平洋軍のパパロ司令官が昨年5月にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で明らかにしたものだ。中国軍が台湾海峡を渡り攻撃してくる場合、米軍と台湾軍が数千台のドローンと水上ドローン、潜水艦で地獄絵図が描かれるほど苛酷に対応する防衛ラインを構築するのが骨子だ。
パパロ司令官はワシントン・ポストとのインタビューで、「この作戦は中国の注意を分散させ米国が対応する時間を稼ぐために考案されたもの。彼ら(中国軍)の暮らしを1カ月間完全に悲惨なものできるならば別のものに向け時間を稼ぐことができる」と話した。
ただ台湾の戦略が限界に至るかもしれないとの見方も出ている。中国は人民解放軍内で電子戦部隊をアップグレードし人工知能(AI)基盤分析とモバイル妨害が可能な対ドローン戦闘部隊創設を準備中だという。世界最大の民間ドローン生産能力を持つ中国が米国と台湾に劣らないドローン戦力を構築できるという見通しも出ている。
ドローン運用能力に対する懸念もある。台湾の軍事専門家は「台湾軍が適切な訓練なくただドローンを備蓄するだけならば高コスト低効率のまた別の『防衛神話』にとどまりかねない」と指摘した。
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