金与正(キム・ヨジョン)北朝鮮労働党副部長 [聯合ニュース]
李大統領が8・15光復節(解放記念日)祝辞で「北の体制を尊重する」と述べてから3日後の18日に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「核武装化の急進的拡大」を強調しながら事実上の拒否意思を明らかにしたのに続き、金与正副部長も名指しで非難した。
朝鮮中央通信によると、金与正副部長は前日、外務省主要局長との協議会で「韓国政府の欺まん的な融和攻勢の本質と二重的性格を辛らつに批判しながら国家首班(金正恩国務委員長)の対外政策構想を伝達指導した」とした。協議会で出てきた金与正副部長の発言は金正恩委員長の意に基づくという趣旨で、対南関連事項を外務省で扱ったのは従来の「敵対的な二つの国家」基調で韓国を外国として扱っているという点を浮き彫りにする意図があると解釈される。
朝鮮中央通信は、金与正副部長が「最近ソウルが我々に対し、体制を尊重していかなる形態の吸収統一も追求しないということと、一切の敵対行為をする考えもないと言いながら、あたかも韓国の対朝鮮政策が『急旋回』しているようなふりについて分析した」とし、李大統領の祝辞の内容を直接引用した。この日の協議会が李大統領の祝辞メッセージに対する直接的対応の性格という点を明確にしたのだ。
続いて「韓国の大統領は機会があるたびに『小さな実践が砂利のように積もれば相互間の信頼が回復する』(18日の乙支国務会議発言)とし『砂利』『信頼』『忍耐心』など放浪詩人のような言葉ばかり並べ、鄭東泳(チョン・ドンヨン)という長官は国会外交統一委員会でした主要業務計画報告で5大核心課題というものを標ぼうした」とした。
鄭東泳統一部長官は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時にも統一部長官を務め、開城(ケソン)工業団地造成などの成果を出し、特使の資格で北朝鮮を訪問して金正日(キム・ジョンイル)総書記に会った。にもかかわらず「鄭東泳という長官」と皮肉ったのだ。
金与正副部長は「ソウルではどの政権であれ、誰であれ、自分勝手に夢を見て憶測して自賛して自分勝手に希望と構想をするのが風土病ではないかと感じるほど」とし「その構想を評価するなら、一つ一つが妄想であり無駄な夢」と嘲弄もした。
ホン・ミン統一研究院研究委員は「敵対的な二つの国家という戦略的基調の不可逆性を再確認したもの」とし「金正恩委員長の意中と指示に基づいて韓国の融和攻勢に対応する対外政策が通達されたという意味」と分析した。
金与正副部長は「李在明政権に入った後、朝韓関係の『改善』のために何か変わるということを恩着せがましく見せようとあがく『真摯な努力』は分かる」とし「しかしいくら悪臭が漂う対決の本心を平和の花がら風呂敷で覆っても、その中の刃先は隠すことができない」と主張した。
また、「我々は文在寅(ムン・ジェイン)から尹錫悦(ユン・ソクヨル)への政権交代過程はもちろん、数十年間にわたり韓国の汚い政治体制を嫌気がさすほど目撃して体験した」とし「結論を言えば『保守』の看板を掲げようと『民主』の冠をかぶろうと、わが共和国に対する韓国の対決野望は何も変わらず引き継がれてきた」と主張した。さらに「李在明はこのような歴史の流れを変える偉人ではない」と述べた。
18日に始まった韓米連合訓練「乙支フリーダムシールド(UFS)」についても「米韓の侵略戦争演習」と主張した。「李在明政権は『防御的訓練』という前任者のたわごとをそのまま繰り返している」とし「表と裏が違うソウル当局者の二重人格を歴然と投影している」と非難した。李在明政権はUFSを一部調整したが、中止でなければ大きな意味はないという要求と考えられる。
金与正副部長は「もう一度明確にするが、韓国はわが国の外交相手にならない」と規定し「共和国の外務省は韓国の実体性を指摘したわが国家首班の結論に立脚し、最も敵対的な国家とその扇動に耳を傾ける国家との関係に対する適切な対応案をよく模索しなければいけない」と注文した。これは米国と同盟国を念頭に置いた発言で、事実上南北関係を図るには韓米同盟の亀裂を覚悟するべきとの注文と解釈される。イム・ウルチュル慶南大極東問題研究所教授は「北が李在明政権に向けた最大限の圧力を通じて、韓米軍事訓練の中断をはじめ、より果敢な対北敵対視政策の転換を促す姿」とし「韓国政府が対米従属性から抜け出すことができない限り、持続可能な平和的な南北関係の新しい歴史を築くことはできないという一種の扇動メッセージ」と評価した。
大統領室はこの日の立場表明文で「李在明政権の韓半島(朝鮮半島)平和のための先制的な措置は一方の利益や誰を意識したものではなく、南北双方の安定と繁栄のための過程」とし「北の当局者が我々の真摯な努力を歪曲して表現するのは遺憾」という反応を見せた。これは一度修正を経た後の2件目の立場文だったが、最初にはなかった「歪曲」と「遺憾」という表現が入った。金与正副部長が李大統領を名指しして非難しただけに融和的な反応で済ませることはできないという判断に基づくとみられる。
統一部は「政府は『敵対と対決の時代』を越えて『韓半島平和共存と共同成長の新しい時代』を必ず開く」と明らかにした。
一方、北朝鮮はこの日の労働新聞で韓国の定期国会に該当する「最高人民会議第14期第13次会議を2025年9月20日に平壌で開く」と明らかにした。改憲問題への直接的な言及はなかったが、金与正副部長が14日の談話で韓国との関係を改善する意志がないという立場と見解を「わが憲法に固着」すると明らかにしただけに、関連事案が扱われる可能性もあるというのが専門家らの見方だ。
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