2024年10月23日にロシアのカザンで開かれたBRICS首脳会談で中国の習近平国家主席(左)、ロシアのプーチン大統領(中央)、インドのモディ首相(右)が記念写真を撮っている。タス
3年ぶりにインドを訪問した中国の王毅外相は18日、ニューデリーで開かれた中印国境問題特別代表会談でインドのジャイシャンカル外相と会った。
王外相は「中国はインド人参拝客の中国チベット聖地巡礼を再開した。中印関係は協力関係に転換している」と強調した。その上で「自由貿易と国際秩序が挑戦に直面する中で28億人の人口を持つ最大の開発途上国である中国とインドが国際社会に貢献しなければならない」と主張した。
インドは平和的関係構築には国境問題議論が必須だと指摘した。国境問題は両国が最も鋭く対立している部分だ。ジャイシャンカル外相は「両国関係が肯定的に進むかは国境地域の平和と安定にかかっている」として中国軍の国境地帯撤収を要求した。
中国とインドは1962年に国境問題で戦争まで起こしたが、依然として国境線を画定できないまま3488キロメートルに達する実質統制線(LAC)を挟んで神経戦を行っている。2020年にヒマラヤのラダック地区でインド兵20人と中国兵4人が死亡し両国関係は冷え込んだ。昨年10月にロシアのカザンで開かれたBRICS首脳会議でモディ首相と習近平主席が会い、国境問題を解決する必要性に共感を形成して変化がみられるようになった。
ロイター通信は「5年ぶりに国境貿易が再開されるならば両国の関係改善の象徴的な意味になるだろう」と評価した。
両国関係改善の動きは米国の関税圧力と連動して進んでいる。米国はロシア産原油輸入を口実に27日からインドに50%の関税を課すと予告した。インドとしてはトランプ政権がインドの頭越しに中国と取引しかねないという不安感が作用した。その後インドは先月から中国人に対する観光ビザ発給を始めて中国と対話に出た。中国外交部も14日に両国をつなぐ直行旅客便の運航を来月から再開すると発表した。
両国関係改善の方向性を王外相のインド訪問に続き31日に中国の天津で開かれる上海協力機構(SCO)首脳会議で具体化するものとみられる。インドのモディ首相はSCO首脳会議参加に向け7年ぶりに中国を訪問する予定だ。王外相は19日にモディ首相と会い、SCO首脳会議の議題と準備状況を説明した。天津でのSCOを契機に中国とロシア、インド首脳の非公式3カ国会談の可能性がある。ジャイシャンカル外相は「インドはSCO首脳会議の開催を全面的に支持し、BRICSなど多者メカニズムで中国との協力をより強化するよう望む」と話した。
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