だが暗い面も見逃すことはできない。一部ファンの私生活侵害と過熱競争、無分別な誹謗は依然として問題として残っている。匿名のオンライン空間で悪質なコメントとファンダムの間の対立はアーティストとファン両方に傷を残す。健全なファンダム文化に向けて自らを守る自浄努力が必要だ。

こうした二面性にもかかわらず、『デーモン・ハンターズ』のファンダム効果は文化芸術領域を超え都市マーケティング、観光、経済分野にまで広がっている。ソウルが舞台である『デーモン・ハンターズ』のブームに驚いた呉世勲（オ・セフン）ソウル市長はこれを活用してソウルの韓国カルチャーイメージを世界に知らせたいと何回も明らかにした。


呉市長は『デーモン・ハンターズ』と関連した観光商品とイベント、ツアープログラムなどを構想し、これを通じてソウルを「ファンダムの聖地」であり楽しさがあふれる「ファンシティ」と位置付けるという計画を出した。単純な文化消費を超え、コンテンツと都市ブランドを結合して経済と観光を同時に活性化するという戦略だ。


これはファンダムの世界観が都市ブランドと結合し新たな産業効果を生み出す代表的な事例だ。ＢＴＳのコンサートが数千億ウォンの経済効果を創出したように、ウェブ漫画とアニメーション、ミュージカルのロングラン公演は文化産業と観光産業に活力を吹き込む。

『デーモン・ハンターズ』が伝えるメッセージは明確だ。ファンダムはもう純粋なファンの気持ちに頼ったオッパ部隊水準ではない。いまや彼らは主導的な文化消費者であり、生産者であり、社会変化を率いるパートナーだ。視野をさらに広げれば、ファンダムの善良な影響力は文化と社会を強固にする大切な資産だ。

『デーモン・ハンターズ』はその可能性を想像の中のファンタジーではない、現実の話に引き込み成功裏に解きほぐした。もうファンダムは韓国の文化の端っこではなく中心であり、韓国カルチャーの次の章を開く核心動力だ。

今週『デーモン・ハンターズ』の代表曲『Ｇｏｌｄｅｎ』が米国のビルボードシングルチャートホット１００でトップに上がった。女性歌手が歌ったＫ－ＰＯＰの歌では初めてのことだ。その歌の歌詞のようにファンダムの時代はすでに私たちのそばに来ている。「私たちの時間、恐れも偽りもなく、こうあるために私たちは生まれた」。

鄭在曰（チョン・ジェワル）／ソウル市立交響楽団代表


【コラム】『Ｋ－ＰＯＰガールズ！デーモン・ハンターズ』ブームとファンダムの「善良な影響力」（１）