『K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ』ブームとファンダムの「善良な影響力」
作中の主人公はファンダムの応援と支持に力を得て悪霊をはね除ける。話はファンタジーだが実は現実の中でファンダムが文化と社会に及ぼす力を隠喩的に見せる設定だ。
これまで韓国社会でファンダムは「オッパ部隊」や「私生ファン」(私生活を追いかけるストーカーのようなファン)のように否定的に消費されたイメージが多かった。だが『デーモン・ハンターズ』はその反対の可能性、すなわちファンダムが世の中を良い方向に動かせる点をドラマチックに証明する。
韓国ファンダムの歴史は思ったより古くなった。1990年代、ソテジワアイドゥルに代表される「オッパ部隊」という受動的な消費者でなく、大衆文化を直接動かす集団として浮上した。続けてH.O.Tなど第1世代アイドル時代には私生活侵害で議論になった私生ファンもいたが、公演興行とレコード消費でK-POPの成長に大きな役割をした。
2000年代以降、K-POPが海外に進出しファンダムは国境を超える巨大なネットワークに進化した。そのピークは2010年代のBTS(防弾少年団)と「アーミー」だった。これらは単純なファンクラブではなく、BTSの世界舞台に向け翻訳とオンライン広報、寄付、社会運動まで自発的にやり遂げた。アーミーがユニセフとともにした「ラブ・マイセルフ」キャンペーンや人種差別反対運動はファンダムが社会に参加する模範事例に挙げられる。
ミュージカル分野でも「N回観客」という新しいファンダム現象が登場した。好きな俳優や作品のために同じ公演を何回も見るファンのおかげで長期公演が可能になり、公演会場周辺商圏と文化商品市場も活気を帯びる。こうした反復観覧文化は大衆音楽を超え芸術全般にわたり持続可能な産業構造を作る重要な軸になった。
ファンダムは力が強い。その力が肯定的である時に文化産業の成長エンジンになる。ファンらは音楽ソフト、チケット、グッズを購入し、オンラインで自発的に広報し、コンテンツ制作にも参加する。最近では寄付とボランティア、環境キャンペーンなど社会貢献活動がファンダムの新たなアイデンティティとしての位置付けを確立した。これまでBTSのアーミーが着実に広げてきた寄付とボランティア、気候変動対応プロジェクト活動などが良い例だ。
【コラム】『K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ』ブームとファンダムの「善良な影響力」(2)
この記事を読んで…