韓国大統領室が3日に公開した「MASGA(Make American Shipbuilding Great Again)」帽子 [写真 大統領室写真記者団]
米連邦議会によると、1月の第119代議会開会から今月11日までに3件の造船業支援法が発議された。▽米国軍艦の海外建造・修理を禁止する「バーンズ・トレフソン法」を修正する「海軍即応性確保法」(2月発議)▽米国沿岸船舶の自国内建造を強制する「ジョーンズ法」を修正する「商船同盟国パートナーシップ法」(8月1日発議)▽米国造船所投資企業に税制優遇を与える「米国のための船舶法」(4月発議)だ。
だが直近で発議された「商船同盟国パートナーシップ法」を除く2つの法案はまだ審査に着手していないという。海軍即応性確保法は発議当日に2度の朗読を経て上院軍事委員会に回付された。米国のための船舶法もやはり2度の朗読後に上院商業・科学・交通委員会と下院交通・インフラ委員会傘下の海岸警備隊および海上運送小委にそれぞれ渡された。まだ公聴会など審査に向けた日程は決まっていない。一般的に米議会で発議された法案は委員会審査から本会議での審議、両院での調整と採決、大統領署名と4段階を経るが、3つの法案はまだ初期段階にとどまっている。
第119代議会からこの日までに処理された法案は31件にすぎない上に、数十年間維持されてきた規制を一気に変えにくい点を考慮しても速度は遅いというのが韓国造船業界の評価だ。さらにトランプ大統領が「米国造船業復活」を直接宣言したのに後続立法がスピーディに進んでいないとの指摘も出る。
◇米議会、安全保障への懸念と労組の顔色伺い
造船業界関係者は「1500億ドル規模のMASGAプロジェクトを韓国政府が約束した状況で、場合によっては米国が規制は解除しないまま韓国企業に対米投資だけ強要するか懸念される」と話した。
米議会が迅速な立法に出られないのには米国内の事情が作用している。米労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)金属産業部門はバイデン政権時代の昨年から同盟国の造船所活用案に対し「雇用と安全保障を脅かす」として反対の立場を見せてきた。同盟国の投資を通じた米国造船所の雇用増加は歓迎するが、まだ十分な技術力が備わっておらず、短期的にはむしろ仕事を奪われかねないとの懸念が大きいということだ。
ソウル大学造船海洋工学科のイ・シンヒョン教授は「米国の政治家も労組の顔色をうかがうほかなく、法案処理に必要な票を集めるのに時間がかかるだろう」と予想する。
安全保障・軍事機密問題も障害に挙げられる。ある造船会社役員は「米国は安全保障を最優先に置いて判断する。いくら韓国が同盟国だとしても軍艦武器システムが他国に流出しかねない法改正を急ぐ理由は大きくない」と話す。
一部では「中国の造船企業が2016年前後のように韓国の造船企業退職者を大挙スカウトする可能性も米国が警戒する部分」という見方も出ている。
韓国輸出入銀行のヤン・ジョンソ首席研究員は「米議会で最近造船業支援法の必要性が議論されていること自体に意味がある。韓国政府が米国政府と議会を対象に積極的な説得戦に出なければならない」と強調した。
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