中国の人工知能（ＡＩ）戦略が技術開発競争から実生活にどれほど幅広く適用できるかに移っているという分析があった。

英時事週刊誌エコノミストは５日（現地時間）、「中国がディープシーク旋風以降、ＡＩの発展に拍車を加えている」とし「最新の技術開発よりも実生活への応用の可能性が優先視されている」と伝えた。


これに先立ち中国のＡＩスタートアップ「ディープシーク」は年初に低コスト高効率ＡＩモデルを出し、業界に衝撃を与えた。エコノミストは「ディープシークをめぐる初期の熱狂はやや弱まった」としながらも、中国のＡＩ産業は急速に成長するという見方を示した。グローバル投資銀行モルガン・スタンレーは中国ＡＩ産業が昨年の３２億ドル（約４７００億円）から２０３０年には１４００億ドル規模に成長すると予想している。ここにインフラ構築や関連部品産業まで含めると市場規模は１兆４０００億ドルに達する。


実際、中国企業が先を競ってＡＩ技術を導入しているが、成果はまだ制限的という評価だ。グローバルコンサルティング会社アクセンチュアによると、中国企業の４６％が生成型ＡＩを使用しているが、生産性向上や収益増加につながったところは９％にすぎなかった。これを受け、「ビジネス、産業全般、公共部門などでＡＩをどう活用できるかを悩む方向に中国ＡＩ戦略の軸が移動した」というのがエコノミストの診断だ。

ＡＩ支援に最も積極的なところは中国の各地方政府だ。地方政府はＡＩスタートアップに莫大な補助金を競争的に投入している。エコノミストは杭州のＡＩグラススタートアップ「ロキッド（Ｒｏｋｉｄ）」を例に挙げ、「ロキッドが地方政府に補助金申請書を提出してから８分後に３００万元（約６１５０万円）が入金された」と紹介した。補助金支給だけでなく公共レベルでＡＩ技術を活用する事例も増えている。国営電力会社の職員が送電線の欠陥を見つけるためにロキッドのＡＩグラスを活用している。

エコノミストはＡＩ分野に国家的力量と資本が集中することには懸念もあると伝えた。米投資銀行ジェフリーズがヒューマノイドロボットに対する期待を「バブル」と診断したのが代表的な例だ。このロボットが商用化されて収益を実現するまで何年かかるか分からないという理由だ。医療分野での性急なＡＩ活用を警告する声も出ている。清華大の研究陣は今年４月、「３００以上の病院がディープシークをあまりにも急いで導入した」とし、誤診の可能性などの懸念を提起した。

習近平国家主席も先月、「誰もがＡＩや電気自動車など特定産業の育成ばかりに没頭している」とし、異例にも地方政府の当局者を叱責した。エコノミストは「『すべての地方政府が必ずしもこうした方向に産業を発展させるべきなのか』に対する答えは確実に『ノー』だ」としながらも「現在のところ中国の国家と地方はすべてＡＩに全力疾走中」と伝えた。