米国のドナルド・トランプ大統領が2025年5月23日(現地時間)、ワシントンのホワイトハウス執務室で原子力関連の行政命令に署名している。[写真 AP=聯合ニュース]
4日、関係部署によると、7月30日(現地時間)に妥結した韓米関税交渉において、韓国政府は2000億ドル(約29兆円)規模の「戦略産業投資ファンド」を創設することにした。韓国政府は「この投資ファンドは、半導体・原発・二次電池・バイオなど、韓国企業が競争力を持つ戦略産業に活用される予定」と説明した。韓国原子力産業協会は「原子力産業を戦略産業に含めた投資ファンドの創設を歓迎する」とし「この投資ファンドは、国内の原発企業の米国進出における重要な転換点であり、新たな機会となることが期待される」とコメントした。原子力産業協会は、韓国水力原子力・韓国電力・斗山エナビリティなど、政府・産業界・学界・研究機関511カ所がメンバーとして参加している団体だ。
原発業界が騒がしくなっているのは、米国原発市場の無限の拡張可能性によるものだ。ドナルド・トランプ大統領は今年5月、2050年までに米国の原子力発電設備容量を現在の97ギガワットから400ギガワット規模まで、約4倍に拡大する内容の行政命令に署名した。この場合、1000メガワット級の大型原発を300基追加で建設することになる。まず2030年までに1000メガワット級以上の大型原子炉10基を着工する計画だが、その建設費用だけで750億ドルにのぼると推定されている。
このプロジェクトは、米国の原発企業ウェスチングハウスを中心に進められる見通しだ。これまで米国内で原発建設を外国企業が引き受けた事例はないうえに、ウェスチングハウスは1950年代に世界初の商業用原発を建設した企業で、原子力の基本技術を保有しているためだ。しかし、ウェスチングハウスは1979年のスリーマイル島原発事故以降、米国内で原発建設が中断されたことで、新規原発供給の能力が低下しているとの評価もある。
ある原発業界関係者は「競争力が落ちたウェスチングハウスだけでは、トランプ大統領の計画の実現化には現実的に無理がある」と指摘した。続けて「韓国企業とウェスチングハウスはこれまでグローバル原発市場で協力関係を維持してきた。前政権では『チーム・コラス(Team KORUS)』という新たな協力体制も稼働していた」とし「技術力と価格競争力を備えた韓国の原発企業が米国市場に進出すれば、韓米双方にとってウィンウィンの結果となり得る」と説明した。
韓国電力は2009年に受注したアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発を完成させた実績があり、韓国水力原子力は最近チェコの原発受注にも成功している。また、ウェスチングハウスが推進中のほとんどの原発の主要機器の建設は斗山エナビリティが担っており、発電所の施設建設を行う現代(ヒョンデ)建設・大宇(デウ)建設などもウェスチングハウスとの協業を拡大している。韓国の原発機器製造・建設企業などにとっては確実なチャンスになるとの評価が多い。
ただし、2000億ドルのファンドは米国が実際に統制するため、米国の意思が最大限に反映される余地が大きい。ファンドの具体的な投資先はまだ未定だ。通商当局関係者は「米国内で産業基盤が弱体化している分野、韓国が得意とする分野、経済安保上で中国を牽制(けんせい)するために韓国が役立つ分野などを選定し、米国に提案した」と説明した。韓国産業通商資源部の関係者は「首脳会談や追加協議の過程で、具体的な議論があるものとみられる」と述べた。
一方、金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官はこの日、大韓商工会議所の崔泰源(チェ・テウォン)会長と会い、韓米関税交渉の妥結過程における企業の支援に謝意を表した。
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