ウクライナの軍事作戦に参加したロシア兵たち。[写真 ロイター=聯合ニュース]
米カーネギー国際平和財団ロシア・ユーラシアセンターが発行するオンライン出版物「カーネギー・ポリティカ」の報告書は、ロシア国防省の資料を引用してこのように分析した。
報告書によると、ウクライナ戦争が始まった2022年の1-3月期から同年秋までにロシア軍で確認されたHIV新規感染例は、戦争前に比べて5倍に増加した。同年末には13倍、2024年初めには20倍にまで増えたことが示された。
HIVは後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスで、HIVに感染したからといってすぐにエイズを発症するわけではない。エイズ患者とは、HIV感染により免疫細胞が破壊され、免疫機能が低下してさまざまな感染症などが現れる状態を指す。
ロシア軍内でHIV感染率が爆発的に増加した原因としては、輸血、野戦病院での汚染された注射器の使用、性的接触、薬物注射用の注射器の共用などが挙げられた。報告書は、特に性的接触や薬物注射器の共用による感染が増えていると独立系ジャーナリストの情報を引用して指摘した。
世界的にはHIV感染率が減少している中で、ロシアだけが感染例が増えているという統計も出ている。
国連エイズ合同計画(UNAIDS)によると、2022年以降におけるHIVウイルスの新規感染者のうち、ロシアは世界全体の3.9%を占め、世界で5番目に多かった。
HIV新規感染者数は1990年代にピークを迎えた後、半分以上減少したが、ロシアでは毎年5万〜10万件の新規感染が発生している。
「カーネギー・ポリティカ」は、HIV感染率の上昇によって将来的にロシアが大きな損失を被る可能性があると見ている。
報告書は「(HIVの)感染によってロシアが被る人口学的・経済的損失は数十年にわたって影響を及ぼすだろう」とし、「最終的にはウクライナ侵攻による損失を上回る可能性もある」と指摘した。
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