トランプ米大統領が「圧力外交」カードとして関税交渉を活用している。

タイ政府がカンボジアとの武力衝突３日目の２６日（現地時間）、トランプ大統領の「貿易交渉中断」圧力を受けて停戦協定を締結する意向を明らかにした。タイ外務省はこの日、Ｘ（旧ツイッター）で「カンボジアとの停戦に原則的に合意した」とし「早期に平和的解決のための２国間対話を希望する」と述べた。これはトランプ大統領がこの日、カンボジアのフン・マネット首相とタイのウェーチャヤチャイ首相代行にそれぞれ電話をかけて停戦圧力を加えた直後に出てきた発表だ。トランプ大統領は自身のＳＮＳトゥルース・ソーシャルで「双方が迅速に停戦し、平和に到達することで合意した」と伝えた。続いて「戦闘が終わるまで米国は貿易交渉を続けることはできない」とし「停戦が先」という立場を明確にした。


タイは当初、「カンボジアが先に敵対行為をやめてこそ交渉が可能」という条件付きの立場を固守していたが、トランプ大統領が貿易交渉中断の可能性に言及すると立場を変えた。これに先立ち米国はタイに３６％の相互関税を課すと予告した状態であり、これを避けるために交渉中だった。カンボジアも同じ関税を予告されて交渉中だが、まだ停戦に対する立場を表していない。


両国間の停戦協定が締結されれば、トランプ大統領の圧力外交でインド－パキスタン（５月）、イスラエル－イラン（６月）の武力衝突仲裁に続いて３度目の成果と解釈される。トランプ大統領は６月２３日、米国のイラン核施設空襲およびイランの制限的反撃の直後、トゥルース・ソーシャルでイラン・イスラエル停戦を宣言し、「私が仲裁していなければ両国は悲惨な戦争に向かっていたはず」と話した。また５月のインド－パキスタン国境衝突後には「私が両国の首脳と意思疎通をして平和が訪れた」とし「私がいなければ核戦争にまで進むところだった」と自評した。

一部ではトランプ大統領の外交方式について国際法的な正当性や中立性とは距離があるという批判もあるが、短期間に軍事衝突を中断させる効果は明確に立証されていると声が出ている。

◆「タイ－カンボジア、米国と中国の代理衝突様相」

国境が接するタイとカンボジアは、５月末にタイ北東部ウボンラチャタニ州の国境付近で発生した小規模な交戦でカンボジア軍人１人が死亡して以降、葛藤が続いた。

特に２４日から３日間、戦闘機まで動員した武力衝突が発生し、紛争の拡大が懸念された。この日までタイ側は民間人１４人・軍人６人の計２０人が死亡、６０人が負傷、カンボジア側は民間人８人・軍人５人の１３人が死亡、７０人負傷したと明らかにした。今回の死亡者の規模は２００８－２０１１年の国境紛争当時の交戦の犠牲者２８人を超えたと、ＡＦＰ通信は評価した。避難者も１６万人を超えている。

今回の衝突をめぐりＣＮＮは「タイは米国の同盟国、カンボジアは中国と緊密な軍事協力関係を持つ国」とし「米国と中国の代理衝突様相」と分析した。

戦略国際問題研究所（ＩＩＳＳ）によると、タイの現役軍人は約３６万人でカンボジアの３倍にのぼり、スウェーデン産グリペン戦闘機と米国産Ｆ－１６戦闘機を保有するなど東南アジア最高レベルの空軍力を誇る。タイは１９５４年から米国の条約同盟国であり「主要非ＮＡＴＯ同盟国」として毎年、多国籍連合軍事訓練「コブラゴールド」を米国と共同主催する。一方、カンボジアは中国の支援を受ける海軍基地を保有し、中国と毎年「ゴールデンドラゴン」という大規模合同軍事訓練を実施している。地上軍の装備も旧ソ連と中国製の旧型モデルを運用している。