現代(ヒョンデ)自動車・起亜(キア)の南陽(ナミャン)研究所にある環境風洞チャンバーは、試験環境に応じて高温風洞・低温風洞・降雪風洞に区分され、車両のさまざまな使用条件を再現する。実際にここでは、時速200キロの強風、氷点下30度の極寒地域での降雪環境など、世界各地の極端な気候をそのまま再現することができる。[写真現代自動車・起亜]
その秘訣は何か。ワイパーが装着された部分で発生する渦流を防ぐため、ボンネットの内側先端に上げ下げできる「アクティブカウルカバー」が装着されている。車両後方の左右テールランプの横には、刃のような40センチのサイドブレードが取り付けられ、側面の渦流を抑制する。現代自動車の関係者は「空気抵抗を0.01Cd下げると走行可能距離が6.4キロ伸びる」と説明した。
現代自動車グループは、研究・開発の核心施設である南陽研究所を23日、報道陣に公開した。同グループは、トランプ関税による4-6月期営業利益の15.8%急減、先の読めない韓米間の通商交渉、対米EV輸出88%減少など、相次ぐ悪材料に見舞われている。だが、核心研究施設を公開し、技術力で正面突破するという意思を示した。
この日公開された研究開発施設は、電気自動車の技術力を検証するための核心施設だ。▷空気抵抗係数(空力試験棟)▷走行性能(R&H性能開発棟)▷高温・低温耐久性(環境試験棟)▷騒音・振動・乗車感(NVH試験棟)--のテスト現場が公開された。
環境試験棟の降雪・降雨環境風洞では、氷点下30度の環境下で電気自動車を凍結させる実験が行われていた。電気自動車は、極低温環境ではバッテリー効率が低下し、結露の発生によって電子装置が故障する可能性がある。充電口が凍結すると充電できなくなる。そのため、雪や風雨を20分間降らせてテストを行い、問題点を発見して補完するのがこの施設の役割だ。現代自動車の関係者は「充電口が前にあるか、後ろにあるかによって過酷さが異なる。テスト後に問題点が見つかれば、ゴムシーリングなどで流入部分をもう一工夫する」と話した。
ロードノイズ実験室(NVH試験棟)では、周波数を測定して外部・内部の騒音を抑制し、ハンドリング走行試験室(R&H性能開発棟)では、北米(西部・東部)や中国などの路面を模したパネルの上で実車を高速回転させて、操縦性や走行性能を試験した。
現代自動車・起亜は、2016年にヒョンデ「アイオニック・エレクトリック」を発売して電気自動車市場に足を踏み入れた。テスラや日産よりも進出が遅かった。そのため既存の内燃機関車に使用されていた南陽研究所の施設を、電気自動車の実験にも利用している。
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