36週目の胎児中絶で物議をかもしたVlog[ユーチューブ キャプチャー]
現行の母子保健法では、母体の健康・生命の危険など例外的な状況を除き、妊娠24週以降の中絶は原則禁止されている。しかし、クォン氏は動画で自身が36週の妊婦であることを明らかにし、これが保健福祉部などに通報され、捜査が開始された。
警察・検察の調べによると、病院長のユン氏(80代)は、中絶を希望するクォンさんの胎児を死産と偽装するため、診療記録を改ざんした。診断書にはクォン氏の病名を「卵巣嚢腫」と記し、卵巣嚢腫の切除手術を行ったように見せかけた。クォン氏が動画を公開して報道で問題化すると、ユン氏は虚偽の死産証明書まで発行した。帝王切開で取り出された36週目の胎児は、そのまま冷凍庫に放置され死亡した。
ソウル中央地検刑事第3部(部長検事チョン・ヒョン)は23日、病院長のユン氏と執刀医のシム氏、そして中絶手術を受けたクォン氏を殺人罪で起訴した。虚偽診断書の作成・行使罪も適用した。手術は高齢で執刀が難しいユン氏に代わってシム氏が行った。ユン氏とシム氏は、この36週目の胎児の中絶以外にも、2022年8月から約2年間で計527人の妊婦に中絶手術を行ったことが判明している。
また、ユン氏の病院に中絶希望の妊婦を仲介したブローカーの存在も明らかになった。ユン氏はブローカー経由で手術を行い、2年間で約14億6000万ウォンを稼ぎ、そのうち3億1200万ウォンを2人のブローカーに支払っていた。
検察はユン氏らを起訴しつつも、違法中絶という犯罪行為自体については罪を適用することができなかった。2019年4月、憲法裁判所が刑法上の中絶罪を66年ぶりに「憲法不合致」と判断した後も、関連法の改正が行われていないためだ。法改正の期限は2020年12月31日だったが、国会での議論が停滞し、今なお改正はなされていない。
検察関係者は「法改正が行われていないため、現在は医師による中絶に関する処罰規定が事実上空白の状態だ」と述べ、「生命を軽視した反人倫的な犯罪に警鐘を鳴らすため、犯行を通じて得た収益全額を没収できるよう万全を期したい」と語った。
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