中国湖北省武漢市のある道路に停車中の百度の第6世代ロボタクシー「RT6」の様子。車両上部には自動運転関連の部品が角のように飛び出ていた以前の世代とは異なり、一部の部品が一体化した形で装着されている。百度によると、生産単価も前世代の車両より50%以上おさえ、大量生産および商用化にさらに一歩近づいたという。ユン・ジョンミン記者
武漢ではロボタクシー専用の道路や運行時間は特別に設けられてはいない。一般タクシーの供給が多く、混雑度が非常に高い中心部の20~30%程度を除けば、ルートの区別なく、学校の前でも警察署や消防署の前でも自由に走行する。先月23日、百度の第6世代ロボタクシーRT6に乗って武漢市蔡甸区の消防署前を通過した際、緊急出動した複数の消防車が道路をふさいでいた。1~2分間停止して待機していたロボタクシーは、前後左右をふさがれた状態で動く気配がないことを確認すると、一瞬まるで回避経路を模索する人間の運転者のように少しずつ前後に身震いするかのような動きを見せた。約4分が経過したころ、RT6は約10メートル後退し、中央線を越えて対向車線の空いたスペースから迂回して素早く抜け出した。百度関係者は「いつまでも停まってはいられないので、異例の状況を判断して選択した動きのようだ」とし、「安全が最優先だが、円滑な交通と効率的な移動も重要だ」と説明した。
◇「自動運転支援」を義務化した武漢市、人材も豊富
百度が2022年5月に初めて武漢に投入したロボタクシーはわずか5台だったが、この3年で400台あまりに増加した。百度が運営するロボタクシーの中で最も多くが武漢に配備されている。武漢がこのように百度に選ばれ、世界から注目を集める自動運転の実験都市となったのは、商用化に必要な4つの核心要素をバランスよく備えていたからだ。
まず、中国政府と武漢市政府の強力な意志と支援があった。技術開発の初期段階から市街地の大部分を走行できるよう規制を緩和し、人材や資金面でも支援を行った。先月24日に会った自動運転部品企業「華礪智行」の任学鋒・副社長は「関連規定が非常に迅速に整備された。特に武漢市は昨年も『インテリジェントコネクテッドカーの発展促進規定』を策定し、自動運転への積極支援を地方政府の義務として明文化した」と話した。自動運転の配送・清掃車などを製造する「極景知能」マーケティング室の李明哲・室長は「世界で試験運行するのに最適な場所なので、武漢に拠点を置いた」と語った。昨年創業した極景は今年無人配送車など80台を納品し、来年は2000台の販売を目指している。
優れた人材が豊富であることも強みだ。シャオミ(小米)創業者の雷軍氏を輩出した武漢大学と、中国でもトップクラスの理工系大学の一つである華中科技大学がこの地にある。両大学は大学評価機関「中国校友会網」の大学ランキングでトップ10に入っており、北京大学や清華大学などの「世界一流大学」と同レベルと評価されている。
AIロボタクシー400台が走る中国武漢、人口がほぼ同じのソウルにはゼロ(2)
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