米国のスコット・ベッセント財務長官が19日、大阪・関西万博 (大阪エキスポ) 「米国ナショナルデー」行事で公式演説をしている。[写真 EPA=聯合ニュース]
米中貿易協議の米国側首席代表であるベッセント氏はこの日、CNBCのインタビューで米中協議の現状について「非常に近い将来、中国と対話をすることになる」と述べ、「米中間の貿易は非常に良好な状態だと思う」と評価した。さらに「我々は(中国と)異なる事項についても話し合いを始めることができる」と付け加えた。
続けてベッセント氏は「残念ながら、中国は制裁対象であるイランおよびロシアの石油を非常に多く購入している」とし「それについて議論することになるだろう」と述べた。
これに先立ち、ドナルド・トランプ大統領は14日、ロシアが50日以内に停戦に応じなければ、ロシアと貿易を行う国々に対して最大100%の「第2次関税」を課す可能性があると明言していた。
ベッセント氏の発言は、こうしたトランプ氏の構想を中国との貿易協議での圧力カードとして活用する可能性を示唆したものと解釈されている。
中国は2022年、ロシアによるウクライナ侵攻以降、西側の制裁により安価で供給されるロシア産石油や天然ガスを大量に輸入してきた。同時に「デュアルユース品目」(民間と軍事に共用可能な製品)をロシアに輸出し、戦争遂行を間接的に支援しているとの批判も受けてきた。
ベッセント氏は「(第2次関税発動まで)期限が10日になるか、30日になるか、50日になるかは分からないが、(米国の)制裁対象であるロシア産石油を購入する国々には100%の第2次関税が課されることになる」と警告した。さらに「我々が第2次関税を実施すれば、欧州の同盟国も足並みをそろえてほしい」とし、対中制裁措置に欧州の同調を促した。
これは米国が欧州連合(EU)との貿易協議を進めているという状況で、欧州が中国に接近する動きを牽制(けんせい)し、中国のロシア産石油輸入問題を軸に米欧が連携して圧力をかける可能性を示したものとみられる。
ベッセント氏は、5月スイス・ジュネーブ、先月英国ロンドンで開催された米中貿易協議に米国側首席代表として出席し、高関税の引き下げ、レアアース(希土類)の輸出規制、半導体の輸出規制といった争点について調整してきた。
ベッセント氏は「我々はまた、次回の米中貿易協議で“部屋の中の象”(避けがたいが扱いにくい問題)についても議論できるだろう」と述べ、中国の過剰生産問題を主要議題として指摘した。そして、世界の製造業輸出の約30%を占める中国が過剰に生産した製品が欧州、カナダ、オーストラリア、グローバル・サウス(主に南半球に位置する新興国・開発途上国)へと流れているとし、「中国が取り組むべき経済の大きな再均衡(rebalancing)」について議論する意向を示した。
ベッセント氏はまた、今年4月にワシントンD.C.で開催された国際金融協会(IIF)対談でも、「中国は過剰生産による輸出から脱却し、国内消費者と内需への転換を始めるべきだ」と主張していた。
またベッセント氏は、トランプ氏が期待を寄せる利下げに応じていない連邦準備制度理事会(FRB)に対しても批判的な立場を示した。彼は「我々はFRBという機関が成功しているのかどうかを検証する必要がある」とし、インフレが安定したにもかかわらず利下げを遅らせているFRBの姿勢を問題視した。
◇ベッセント氏、貿易協議を急がず慎重に進める考えを示唆
ベッセント氏は、トランプ氏が8月1日に設定した関税発動の期限に関連して「我々は8月1日までに合意することよりも、質の高い合意を重視している」と述べ、拙速な合意よりも実質的な成果を重視する姿勢を明らかにした。
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