慶尚北道慶州（キョンジュ）で開催されるアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）首脳会議が約１００後に迫った。新政権発足後の最初の大規模国際行事だ。政府と地方自治体が外賓への対応など最終調整に集中しているが、適時に準備が終わるかどうかという懸念は続いている。

◆首脳の宿泊施設を集中点検


金民錫（キム・ミンソク）首相は１５、１６日、慶州ＡＰＥＣ首脳会議の準備状況を視察した。初日の１５日には実務者と記者団、そして首脳級の宿泊施設まで各級施設とサービス準備現況を集中的に点検した。


金首相は改補修が進行中のすべての首脳級の宿泊施設を見回り、工程が支障なく推進されるよう万全を尽くすことを要請した。サービス施設が不足した研修院は顧客サービスが主要ホテル水準で提供されるよう関連団体と緊密に協力することを指示した。ホテル従事者のサービス教育現場も訪問した。

この日、案内を担当したキム・ハクホン慶尚北道行政副知事は「現在、加盟国の首脳のためのプレジデンシャルロイヤルスイート（ＰＲＳ）客室のリモデリング工事は支障なく進行中であり、９月中には終わる」とし「慶州を訪問する人たちに親切でリラックスできる慶州のイメージを伝えられるよう最善を尽くす」と話した。

金首相が慶州に２日間滞在し、ＡＰＥＣ首脳会議の準備状況を点検したが、まだ関連インフラの準備と安全・輸送対策が十分でないという指摘は相変わらずだ。

◆弾劾政局などで日程に支障

現在、慶州ＡＰＥＣ首脳会議関連のインフラ工程率は夕食会場が２５％、メディアセンターが５０％、各国首脳と随行員の宿泊施設が６５％など。１２・３非常戒厳と弾劾政局、早期大統領選挙まで上半期に国政の空白が続き、ＡＰＥＣ準備動力が弱まったのが影響を及ぼした。

ＡＰＥＣ首脳会議では２１加盟国の首脳が集まる首脳会議をはじめ、各国の２国間会談も続くため、各種会談に適した多様な会議場とラウンジ、行政支援室などが必須だ。国際行事のＡＰＥＣ首脳会議の総括準備と最終意思決定は外交部の所管だが、関連インフラの準備と輸送・医療支援などは開催地の自治体が担当する。

国会ＡＰＥＣ特別委員会の共に民主党幹事の鄭日永（チョン・イルヨン）議員によると、慶尚北道は計１４２億ウォン（約１５億円）を投じて慶州エキスポ大公園に２７００平方メートル規模の経済展示場を造成中だ。しかし建築工事の開札は４月末、消防・電気・通信工事の開札は５月中旬に行われ、工事期間は１５０日と設定されているため、会議直前まで工事が続く可能性が高い。

韓国水力原子力が１８４億ウォンを投入したＡＰＥＣ広報館建設も似た状況だ。主な工事と建設事業管理サービスの開札は５月末から６月初めに行われ、展示準備が適時に完了するかも懸念される。

特に首脳会議期間中は一日に最大で客室７７００室が必要とみられ、宿泊施設の準備が重要な状況だ。このうち首脳級に提供するＰＲＳ客室の準備に集中している。崔泰源（チェ・テウォン）大韓商工会議所会長が浦項（ポハン）迎日（ヨンイル）湾に大型クルーズ船を浮かべ、慶州ＡＰＥＣ首脳会議を訪問した世界の最高経営責任者（ＣＥＯ）が利用する「海上宿泊施設」で準備しようと提案したのもこうした理由からだ。

◆交通管理対策も懸念

インフラだけでなく交通状況に対する懸念もある。慶州ＡＰＥＣの主要行事が開催される慶州普文（ボムン）観光団地は約８５１万５０００平方メートルでサッカー場約１２００個分の規模だが、ここに訪問客２万人と行事管理をする行政・治安人員およそ３万人まで計５万人が集まれば大きな混雑が生じる。

２０１５年にフィリピン・マニラＡＰＥＣ首脳会談当時も首脳会談場所と宿舎の周辺道路、ＡＰＥＣ関係者の専用道路に一般車両が入れないようにするなど統制しながら都心の交通がまひした。慶州普文観光団地はマニラのように人口が密集する地域ではないが、道路インフラが不足し、近隣都市とつながる国道が１、２本しかなく、対策の準備が必須だ。

施設工事が遅れ、夕食会場などを「仮設建物」とする点も主要国が心配する事項だ。夕食会場は地上１階の延べ面積２０００平方メートル、７００人収容規模で今後２、３年間活用する予定だ。

匿名を求めた慶州ＡＰＥＣの関係者は「ＡＰＥＣは首脳会議だけでなく首脳級が食事、宿泊、用を足すだけにすべての点が完ぺきでなければいけない行事」とし「輸送・安全対策が不十分な状況で、過去にペルーやロシアで開催されたＡＰＥＣ首脳会議の劣悪な事例もあるからと考え、我々の現在の状況をあまりにも楽観的に見ているのではないか心配だ」と指摘した。