産業通商資源部の呂翰九通商交渉本部長(右)が5日にワシントンDCの米通商代表部(USTR)でグリア代表と握手している。[写真 産業通商資源部]
産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が「もう選択と決定の時間」という韓米関税交渉で韓国がどこまで譲歩できるのか、受け入れるのが難しい阻止線はどこなのかを示す現住所だ。トランプ米大統領が予告した8月1日からの関税施行を半月余り残した14日、中央日報が韓米両国政府当局者と通商専門家らに対する取材を総合した結果だ。
交渉期限が迫り全方向から圧力レベルを高めている米国の要求は大きく▽自動車市場開放拡大▽月齢30カ月以上の牛肉輸入など食品市場拡大▽オンラインプラットフォーム法緩和をはじめとするデジタル貿易障壁解消――の3つになる。
◇「自動車規制緩和しても不利でない」
これらのうち韓国の立場で比較的譲歩の可能性が高い分野でまず挙げられるのは自動車環境規制緩和を通じた市場開放拡大だ。米通商代表部(USTR)が3月に出した国別貿易障壁報告書(NTE)でも「米国の自動車メーカーの韓国自動車市場アクセス性拡大は米国の核心優先順位」として重要性が強調されている。
韓国政府は米国の要求を一部受け入れて自動車排気ガス規制を多少緩和しても韓国市場で大規模な販売増加につながるのは難しいとみている。タミ・オバービー元在韓米国商工会議所(AMCHAM)代表は中央日報の電話取材に「輸入車を購入する韓国の消費者はメルセデスベンツなどラグジュアリーなラインナップを好み、米国車はやぼったく燃費が悪いというイメージが強い。韓国の自動車市場構造とよく合わないため環境規制を撤廃しても大きく不利ではないだろう」と話した。
◇「月齢30カ月以上の牛肉の割合はわずか」
食品分野では徹底した検疫と衛生基準順守を条件とした月齢30カ月以上の牛肉輸入禁止解除が議論される。2008年の狂牛病問題後、月齢30カ月以上の米国産牛肉は輸入を制限しているが、米国は「2008年に韓国が米国産牛肉輸入を完全に開放することにし臨時措置として月齢30カ月未満の牛肉輸入を許容するとしたがその臨時措置が16年以上続いている」として改善を要求している。
韓国政府の一部では韓国はすでに米国産牛肉を2023年基準で年間約26万トン輸入する最大の輸入国の上に、米国産牛肉のうち月齢30カ月以上は2~3%とわずかな水準である点から輸入禁止を解除する時になったという意見が出ているという。ただ「狂牛病のトラウマ」克服など政治的判断が必要な問題だ。
ジャガイモなど遺伝子組み換え(LMO)作物輸入も技術的議論は可能という見方が多い。農村振興庁は3月に米シンプロットのLMOジャガイモに対し7年ぶりに「適合」の判定を下しており、LMOジャガイモの輸入手続きは食品医薬品安全処の人体安全性検査だけ残った状況だ。
◇コメ開放議論はまだない
食品分野で米国はリンゴ、ブルーベリー、チェリーなどの果物検疫緩和も強く圧迫している。米国は1993年に韓国に自国産リンゴ輸入危険分析を申請したが、33年にわたり8段階の検疫手続きのうち2段階目を超えられずにいる。韓国政府が国内果樹農家の被害を懸念して防いでいるためだ。呂本部長は最近農林畜産食品部にリンゴ輸入の前向きな検討を指示したという。それでも現実化する場合には果樹農家と生産者協会の組織的反発が懸念される点から依然として政府の悩みは深い。
韓米関税交渉、韓国の立場は…車は譲歩カード、プラットフォーム法は交渉、牛肉は苦心、コメは不可(2)
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