ハ・ジョンウAI未来企画首席秘書官が6月19日に大統領室庁舎で理工系特別法関連会見をしている。[写真 ニュース1]
AI自主独立を別の言葉で「ソブリンAI」と呼ぶ。これは独自のAIモデル、インフラ、データ、人材と経済生態系を独自に備えた国の能力を意味する。このためにはAI技術と産業自律性、安全保障、責任性を持つと同時に、独自開発と維持能力を備えなければならない。
AI自主独立が重要な理由は、AIを保有してこそ国家安全保障、データ主権、知能の条件、産業の成長主導権、経済的独立性、政治的主権、産業競争力、国際的影響力、文化的特殊性を保障できるためだ。AI自主独立を確保するには4つの核心条件を備えなければならない。
最初に、国はファンデーションモデルと呼ばれるAI基礎モデルがなければならない。このモデルは総合的で多様な機能を持つAIモデルだ。米国のチャットGPT、中国のディープシークが代表的だ。文書作成、映像生成機能だけでなく、ロボットと結合した物理AIも含む。基礎モデルを基に多様な「AIX」という応用AI開発が可能だ。追加学習を通じて個人的なAIサービスを目的にエージェントAIとして使うこともできる。
AI基礎モデルなくして独自のAI技術もサービスも存在できない。もし韓国に独自AI基礎モデルがないならば外国製品の輸入に依存するほかない。輸入したAI基礎モデルでハングルサービスを中断したり性能が低下すればハングルをなくすかもしれない。外国製モデルのシェアが拡大すれば価格を大幅に上げたり供給を制限したりすることもできる。AI従属国になるということだ。
2番目に、こうしたAIモデルを開発したりサービスを提供して事業をするためにはコンピューティング資源が必要になる。この時グラフィック処理装置(GPU)が必要だ。GPUのないAI自主独立はない。モデルの開発時間と性能、使用者容量は全面的にGPU保有台数に比例する。GPU保有台数がAIの実力であり国力だ。GPUが集積されたAIデータセンター構築には大規模資金が必要なため国家的投資が必要だ。ここでベンチャー企業、学校と研究機関がAIモデルを開発しAI公共サービスを提供できる。1970年代に京釜(キョンブ)高速道路を建設し、1990年代にインターネットハイウェーを作ったように、2020年代にはAIデータセンターハイウェーを建設しなければならない。ここで産業と経済が花を咲かせる。
3番目、AI独立国の核心条件は優秀人材の確保だ。基礎モデルを開発したり応用モデル開発能力を備えた多くの優秀人材が絶対的に必要だ。彼らを育てるのは国の義務だ。彼らは数学の実力が堅固でソフトウエア、アルゴリズム、コンピュータアーキテクチャ、AI半導体分野をあまねく理解し統合できる人材だ。これら修士・博士人材の数がAI国力を左右する。このように優秀なAI人材を育成し、彼らが成長するための破格の報賞体系を備えなければならない。全国の国立大学10校に少なくとも定員100人ほどのAI学科を設立しなければならない。彼らが修士・博士学位を終えるまで学費と生活費を支給する政策もともなうべきだ。
最後に「AIX」と呼ばれるAI生態系を作らなければならない。企業がAI事業を通じて利潤を創出し収益を再投資して成長するAI循環生態系を構築しなければならない。これもまた政府の役割だ。それでこそ持続可能な成長が保障される。
新たに発足した政権の成否はAIの国家政策にかかっていると考える。AI自主独立の基礎と成長の踏み台を用意しなければならない。こうした観点から李在明(イ・ジェミョン)大統領が最高のAI専門家で開発と事業経験が豊富な人材をAI未来企画首席秘書官と科学技術情報通信部長官に起用したことは評価すべきだ。彼らがワンチームで活躍する姿を期待する。
金禎浩(キム・ジョンホ)/KAIST電気・電子工学科教授
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