戦場でＥＰＶ（一人称視点）ドローンを含む小型ドローンの使用が増えているが、米軍はその間、小型ドローンの運用許可を受けるのに困難が多かった。小型ドローンを耐久財に指定し、損失が発生すれば報告書を作成しなければならなかった。ヘグセス米国防長官はこうした制約を緩和しようと小型ドローンを消耗品に指定するなど新たな指示を出した。指示にはドローンの導入と運用に対する制約の緩和も含まれ、米ドローン業界が歓迎している。

＜１＞米国防総省、軍隊の小型ドローン使用を増やすため消耗品に指定


ヘグセス米国防長官が軍全体で小型ドローンの配備ペースを高めようと、ドローンを耐久財でなく弾薬と似た消耗品に指定し、使用権限も現場指揮官に付与する内容の政策を発表した。米国防総省は「米軍用ドローン優位確保」と題した政策を紹介しながら、小型ドローンが長官が署名した命令書の写本を伝達する劇的な映像も公開した。


ヘグセス長官の新しい命令は３つの核心的な方向性を持つ。１つ目、米ドローン製造基盤を強化しようと数百種類の米国製品を承認し、軍が購入できるようにした。２つ目、技術的飛躍を導き、米国最高の工学者と人工知能（ＡＩ）専門家が開発した多様な低費用ドローンを戦闘部隊に配備することだ。３つ目は戦闘で期待通りに訓練することだ。

今回の命令の影響を受けるドローンは米国防総省の５種類のドローングループのうち最大離陸重量０．４５－９．１キロ、運用高度３６６メートル未満、最高時速１８５．２キロ未満のグループ１、最大離陸重量９．５－２４．９キロ、運用高度１０６７メートル未満、最高時速４６３キロ未満のグループ２に属するものだ。このほか最大離陸重量６９８．７キロ未満、運用高度５４８６メートル未満、最高時速４６３キロのグループ３ドローンにも同じ規定を適用できるか検討している。

命令に基づいてグループ１と２のドローンを消耗品に再分類すれば、ドローン制御アーキテクチャーの相互運用性のために共通要求事項を規定したＮＡＴＯ規格のＳＴＡＮＡＧ４８５６の標準を満たさなくてもよい。米国防総省はこうした標準が設計に費用と複雑性を追加するおそれがあるため大型ドローンに限定されるべきという立場を明確にした。

今回の命令には０－６級指揮官（大佐級）がグループ１と２のドローンを運用するかどうか決められるよう下方調整することも含まれている。指揮官は小型ドローンの運営権限を直接付与できることになり、法的制限を遵守する小型無人航空体系（ＵＡＳ）を実験室プロトタイプから商業用製品、米軍人により製作された模型まで、規定を遵守する核心部品を使用し、購買・テスト・訓練できる権限を持つことになる。ただ、このＵＡＳは国防部ネットワークとは分離した閉鎖型サイバーネットワークに留めなければいけない。


【ミリタリーブリーフィング】ドローン「百万良兵」を加速する米軍…弾薬のように消耗品に指定（２）