12日、第47回国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会で「盤亀川(パンクチョン)の岩刻画」が最終的に登録された。「盤亀川の岩刻画」は蔚州盤亀台(ウルチュ・パングデ)の岩刻画。[写真 韓国国家遺産庁]
盤亀川岩刻画は蔚山市蔚州郡彦陽邑大谷里(ウルサンシ・ウルチュグン・オニャンウプ・テゴクリ)の盤亀台岩刻画と川前里(チョンジョンリ)岩刻画を合わせた単一遺産を指す。1970年に見つかった川前里岩刻画(73年国宝指定)には高さ約2.7メートル、幅10メートルの岩面に沿って各種図形や文字、絵など620点余りが刻まれている。続いて1971年に見つかった盤亀台岩刻画(95年国宝指定)は高さ約4.5メートル、幅8メートル(主岩面基準)の岩面にクジラの狩猟を含めて約300点の動物と人の絵が確認される。約6000年前の新石器時代末から青銅器時代初めにかけて製作されたと推定される。
世界遺産委員会はこれらが「先史美術の傑作」である点を高く評価した。「世界遺産条約履行のための作業指針」計10項目の基準のうち、1番目の「人間の創造的才能を表す傑作である」と3番目の「現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である」という条件を満たしているとされる。韓国の17件の世界遺産のうち、1番目の条件を満たしているのは石窟庵(ソックラム)・仏国寺(プルグクサ)(1995年)の2件のみにとどまる。イタリア「ヴァルカモニカの岩絵群」など既存の33件の世界遺産岩刻画と比べても独自性が際立っているという評価だ。
盤亀川世界遺産登録推進団の所属でパリ会議に出席した蔚山壁画博物館のチェ・ヒョンスク館長は13日、中央日報の電話取材に対して「欧州やアメリカ大陸とは異なる、東アジア沿岸の生活環境を説明しているところに完成度の高い先史美術という点を登録申請書で強調した」と説明した。実際に大谷里岩刻画の場合、50頭余りのクジラが描写されているが、ザトウクジラ・コククジラなど分別可能な絵が少なくとも7種類に達する。「一つの岩面に完成度の高い技法で数十頭のクジラの絵が見つかった事例がほとんどないばかりか、芸術的にも最高水準」〔最初の発見者ムン・ミョンデ東国(トングク)大学名誉教授〕という説明だ。
15年かかった登録過程も注目に値する。1970年代初めに相次いで発見された蔚州岩刻画はしばらく考古美術史学界の中だけに関連議論がとどまっていた。蔚山市が1997年に広域市に昇格して文化観光資源として新たに注目を集め、国家遺産庁(旧文化財庁)との協業の中で2010年にはユネスコ世界遺産潜在目録にも登録された。
問題は正式登録の際に求められる遺跡の真正性(Authenticity)と完全性(Integrity)が基準に達していなかった点だった。岩刻画発見以前の1965年に大谷川下流に建設された泗淵(サヨン)ダムが洪水調節のために水位を引き上げる場合、絵が水に浸る事態が繰り返されて毀損が懸念されるようになったためだ。2005年大谷ダム建設後にかなり緩和されたが、ユネスコ側は原形管理・保護体系を補完するように求める立場だった。最終申請書の提出を担当する国家遺産庁(旧文化財庁)と蔚山広域市および環境団体間で浸水解決案を巡って駆け引きが続いた。
結局、政府次元で「泗淵ダム水門追加設置」(2030年予定)が決定し、これを明示した正式申請書が昨年初め提出された。今年5月のユネスコ諮問審査機構である国際記念物遺跡協議会(ICOMOS・イコモス)が「登録勧告」を決めて事実上登録が確定した。ただし、世界遺産委員会側は「泗淵ダム工事の進展事項を世界遺産センターに報告すること」「遺産の卓越した普遍的価値に影響を与えうるすべての主要開発計画に対して世界遺産センターに知らせること」などを強く勧告した。
蔚山大学のチョン・ホテ名誉教授(歴史文化学)は「陸地狩猟と海洋狩猟が同時に表現されていて独創的価値が大きく、数千年間、神聖な空間と見なされてきた岩刻画遺跡が持続可能な管理を受けられるよう願う」とした。国民大学のファン・ソンイク教授(韓国歴史学)も「登録過程で岩刻画保存に関する議論水準が高まったことが大きな成果」としながら「韓国の登録遺産が古墳・寺刹・殿閣などに続いて先史時代までその悠久なる歴史を合わせることになった」とコメントした。
一方、北朝鮮が申請した「金剛山(クムガンサン)(Mt.Kumgang-Diamond Mountain from the Sea)」も13日、世界遺産に最終的に登録が決定した。これで北朝鮮は今回の「金剛山」と「高句麗古墳群」(2004年)、「開城の歴史的建造物群と遺跡群」(2013年)など世界遺産3件と人類無形文化遺産5件を保有することになった。
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