7日、ソウル中区の国際移住機関(IOM)韓国代表部事務室で中央日報のインタビューに応じたイ・ソンアIOM事務次長 キム・ヒョンドン記者
37年が経過した昨年4月、この少女は国連機関で2番目に高い職級に就いた。その主人公はイ・ソンア国際移住機関(IOM)運営改革事務次長(47)。175カ国が加盟するIOMは安全で秩序正しい移住を促進するための人道的支援、再定着、社会統合などを遂行するスイス・ジュネーブ所在の国際機関だ。外交部が主管する国際機関進出説明会に出席するため任命後初めて韓国に帰国したイ事務次長に7日、ソウル中区武橋洞(ムギョドン)のIOM韓国代表部事務室でインタビューをした。
--国際機関で仕事をしているが、海外で勉強したのか。
韓国で中学、高校、大学を卒業し、最初の職場も大企業に属するカード会社だった。貯金して大学院に通う間、国連傘下の国際貿易センター(ITC)のインターンに合格し、夢に向けて第一歩を踏み出した。
--ITCで働いてどうだったのか。
無給なので経済的には厳しかった。4フラン(約750円)のバゲットを1つ買って3つに切り、朝、昼、晩に食べたりした。それでも目指してきたところでチャンスをつかんだので楽しく働いていた。
--ITCインターン後には何を主にしてきたのか。
機会が必要な人のための人道的支援や経済開発戦略を立てる経験を積んだ。たとえばドイツ国際協力公社(GIZ)で勤務した時は銀行口座がなく経済活動ができない開発途上国の国民の金融アクセスを高めるプロジェクトを遂行した。80余りの全世界の中央銀行が加入するなど反響が大きく、ビル・ゲイツ財団から後援も受けた。その縁でビル・ゲイツ財団にしばらくいた。
--その後はキャリアがうまく進んだようだ。
良い時期だった。ビル・ゲイツ財団では会いたい人にみんな会った。予算の制限もないようなところだった。ところが37歳で乳がん2期という診断を受け、がん細胞がリンパ腺まで転移したと聞いた。抗がん治療を受けながら2度目の思春期を経験した。ビル・ゲイツ財団も良いところだが、もっと意味のあることに時間を注ごうという考えを何度もした。
--国際移住機関は国内ではあまり知られていない。
世界では災難、紛争、気候危機などの理由で移住する人が多い。この人たちには物資が必要であり、家もない。他の国連機関と協力して人道的支援をすることを優先する。また経済的機会を求める人たちが正規過程を踏んで移住できるよう各国政府と協力して解決策を提示する。私もフィリピン、コンゴ民主共和国など移住・紛争現場を訪れている。
--韓国でも超少子化問題で最近は移民の議論が活発だ。移民国家として韓国の競争力はどうか。
過去とは違い韓国が経済・文化的に広く知られ、移民の需要は引き続き増えると予想される。ところが高熟練移民者には魅力的な国ではないと考える。言語、労働権、包容性など移民者として生きるのに不便を感じる点がある。
--移民者流入による葛藤も懸念されるが、どう対処するべきか。
人類の歴史で移住は自然な現象だ。無理に防げば逆効果が生じたりする。したがって国際移住機関が常に強調しているのが、合法的な移民ルートを開いてほしいという点だ。まともに管理すると同時に、機会を与え、社会統合政策を進めてこそ、国家にも利益となる。
--韓国では過去に移民庁など移民専門機関設置法案が発議されたが、目立った進展はない。
移民関連総合戦略を立てる機関が必要だ。移民は複数の部処が協業しなければならない問題であるため、統合的に戦略を立てて執行しなければいけない。移民専門機関の設置が役に立つと思う。
--韓国人で初めて国際移住機関の事務次長に任命され、負担感も大きいと思う。
相当な負担を感じている。重責だが、アジアと関連づけて見ることが多い。私が努力すれば、まずは韓国、さらにアジア全体に道を開くことができるが、うまくできなければその反対の結果になる。国際移住機関の事務次長でもあるが、国連の全般的な事務も担当している。頑張らなければと思う理由だ。
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