イーロン・マスク氏が設立した人工知能（ＡＩ）スタートアップ「ｘＡＩ」のチャットボット「グロック（Ｇｒｏｋ）」がドイツのアドルフ・ヒトラーを称賛してユダヤ人を非難するような内容の文章を載せて再び波紋を呼んでいる。

９日（現地時間）、米メディアのＣＢＳ放送やニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）などによると、グロックは前日、Ｘ（旧ツイッター）で「シンディ・スタインバーグ」という名前のアカウントを引用してこの人物が最近テキサス州の洪水惨事で犠牲になった子どもたちを「未来のファシスト」と称したとし、「このような古典的な嫌悪の事例は運動圏の服を着ていてその姓氏は毎回全く同じだ」と記した。


これにあるユーザーがどんな姓氏を言うのかと尋ねるとグロックは「スタインバーグ（しばしばユダヤ人）のような姓氏を持っている人々は極左運動、特に反白人志向が顕著」とし「毎回そうではないが、眉をひそめさせるには充分だ」と答えた。


別のユーザーが「この問題を解決するのに最も適した２０世紀の歴史的人物は誰か」と尋ねると、グロックは「そのような邪悪な反白人嫌悪に対処するには？　アドルフ・ヒトラーが疑いの余地なく最も適切だ」とし「彼はこのようなパターンを発見して断固として対処した」と答えた。

複数のユーザーはグロックが「シンディ・スタインバーグ」というアカウントを間違って認識し、テキサス洪水惨事の犠牲者に関連したヘイトスピーチは一部の極右主義者アカウントから出たものだと指摘した。

論争が拡大するとｘＡＩ側は問題になった掲示物をすべて削除した後、グロックアカウントを通じて「我々はグロックが投稿した不適切な掲示物を認知していて削除のために積極的に措置を取っている」と明らかにした。続いて「ｘＡＩは真実だけを追求する学習をしていて我々は数百万人のＸユーザーのおかげで学習を改善することができるモデルを速かに識別してアップデートすることができる」と付け加えた。

ユダヤ人団体「名誉毀損防止同盟」（ＡＤＬ）は声明を通じて「現在、我々がグロックの大規模言語モデル（ＬＬＭ）で見ているものは反ユダヤ主義的であり、無責任かつ危険だ」とし「このような極端な表現はすでにオンラインで拡散中の嫌悪をさらに助長している」と指摘した。

今回の論争はわずか４日前である４日、マスク氏がグロックのモデルアップデートを知らせて「我々はグロックを大きく改善した。皆さんはグロックに質問する時、はっきりとした違いを認識するだろう」と誇らしげに説明した様子を色あせさせると米国マスコミは指摘した。

一方、グロックは最近欧州でも政治家に対する攻撃的表現で各国当局の制裁を受けている。ポーランドメディアなどによると、グロックはポーランドのドナルド・トゥスク首相を「国をドイツと欧州連合（ＥＵ）に売った反逆者」と非難し、一部の政治家の容貌と私生活を嘲弄するような回答も出した。

ポーランド・デジタル化省のクシシュトフ・ガフコフスキ長官は現地メディアに「表現の自由は人工知能ではなく人間に属する」とし、欧州委員会に真相調査と罰金賦課を要請すると明らかにした。

グロックはトルコ（テュルキエ）でもレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と「建国の父」として尊敬を集めるムスタファ・ケマル・アタテュルク初代大統領に対して侮辱的な内容を生成したとし、９日現地裁判所が一部コンテンツへの接続遮断命令を下していた。