昨年10月15日、北朝鮮は京義(キョンウィ)線と東海(トンヘ)線の南北連結鉄道・道路を爆破した。 [ニュース1]
北朝鮮軍が最前方地域に電気鉄柵を設置している。 [写真 合同参謀本部]
韓国軍の合同参謀本部が国会国防委員会の姜大植(カン・デシク)国民の力議員に提出した資料によると、2008年から17年間に北朝鮮の非武装地帯(DMZ)内のMDL付近で行われた地上挑発件数は計25件だった。北側の兵力が南側の許可なくMDLを越えたり地雷を埋設したりする行為、高射銃などを射撃する行為は停戦協定違反に該当する。2015年8月に京畿道坡州(パジュ)の監視哨所(GP)通門で発生した木箱入り地雷挑発が代表的な事例だ。
25件のうち半分に近い11件は昨年6月以降に発生した。11件すべてがMDLを侵犯した事例だった。最近は4月21日に東部戦線の江原道高城(カンウォンド・コソン)地域で北朝鮮兵力がMDLを越えて南下したことが分かった。4月8日には同じ地域で個人の火気で武装した北朝鮮兵力約20人がMDLを越えた。当時、軍当局は警告放送・警告射撃をして武装兵力を北側に戻らせたと明らかにした。
今まで軍当局がメディアに明らかにしたMDL侵犯事例は4月8日の事例を含めて3件だけだ。しかしその他にも公開していない大小の挑発が8回あったということだ。合同参謀本部の関係者は「わが軍は北の軍の動向を綿密に監視し、作戦遂行手続きに基づき必要な措置を取っている」とし「公開するかどうかは作戦状況を考慮して判断している」と説明した。
MDL侵犯を月別にみると、昨年6月(4回)、8月(1回)、9月(2回)、10月(2回)、今年4月(2回)に発生した。北朝鮮軍のMDL侵犯が多い時期は、地雷埋設など北朝鮮の最前方作業が活発に行われた時期と一致するというのが軍当局の説明だ。逆に新義州(シンウィジュ)など西北地域に深刻な水害が発生した昨年7月と冬季動員訓練があった昨年12月から今年2月まではMDL侵犯事例が1件もなかった。
越境は主に京畿道漣川(キョンギド・ヨンチョン)、江原道華川(カンウォンド・ファチョン)などであり、今年初めて江原道高城(コソン)でMDLを越える事例が確認された。これは前方作業の領域自体が徐々に拡大しているという傍証とみることができる。
ただ、軍は最近の北朝鮮軍のMDL侵犯について、2015年の木箱入り地雷当時のように計算された挑発というより、意図せぬ事故とみる雰囲気だ。北朝鮮軍がGPSなどを使用せずMDLの表示に沿って作業するなど旧式装備に依存している点もMDL侵犯が増えた原因に挙げられる。
しかし意図に関係がなく敏感な地域に地雷を埋設するなど停戦協定を違反する行為は南北間の偶発的衝突の可能性を高めるという指摘だ。軍は北朝鮮軍の最大1万人がMDL付近まで南下して作業をしていると把握している。
特に今回の統計には北側地域内で行われた緊張誘発事例は除外された。昨年6月と今年3月にそれぞれあった北朝鮮軍の作業中の地雷爆発や京義・東海線南北連結道路爆破(10月15日)は抜けた数であり、こうした事例まで含めると緊張状況はさらに増えるということだ。
北朝鮮軍は地雷の埋設、電気鉄柵の設置のほか、いつでも攻撃に転換可能な戦術道路と対戦車防壁も建設している。軍当局はこれを北朝鮮軍人・住民の越南遮断対応はもちろん、有事の際、作戦兵力増援のための車両機動性とMDL近接監視能力などを補強するための措置とみている。
一方、韓国軍はこれに対する比例措置を取っていない。3日、茂みの中で20時間以上隠れた後、韓国軍の誘導で越境するなどMDLルートを通じた脱北も続くなど、境界地域の将兵の警戒疲労度が高まっているという指摘が出ている。
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