ホワイトハウストランプ大統領が歩きながら取材陣の質問に答えている。[写真 AP=聯合ニュース]
しかし言葉と違い第2次トランプ政権で中国牽制政策が揺らいでいるという評価が出ている。戦略の足りなさが示されたり、政策優先順位から中国が追いやられた。米外交専門誌フォーリンポリシーは2日、「原因にはトランプ大統領の即興的意志決定がある。中国との競争で勝利するという米国の目標が混乱している」と指摘した。
◇レアアースの威力に…関税爆弾も尻尾下げる
戦略不足の代表事例は対中関税だ。4月に国別相互関税を発表したトランプ大統領は、中国には145%の関税爆弾で圧迫した。だが1カ月後の5月11日には関税率を3カ月間30%に引き下げることで中国と合意する。中国のレアアース輸出制限の脅威に、特別な譲歩を得ることもできず攻勢を止めたのだ。
世界市場の約80%を独占している中国のレアアースの威力を過小評価したまま強攻を広げた結果だ。トランプ政権出身の関係者は同誌に「対中関税爆弾は中国担当当局者の企画ではない。相互関税にこだわるトランプ大統領が対中政策の最優先順位に上げて実行されたもの」と話した。
◇優先順位から押されて専門人材も解雇
第2次トランプ政権になって対中政策が後回しにされているという評価も出ている。関税爆弾を除けばトランプ大統領が1月の就任から約6カ月間に強調してきた主要懸案に中国は見られない。ウクライナ戦争停戦仲裁、不法移民取り締まり、イラン核施設攻撃などが優先だった。
政府効率化省(DOGE)を前面に出した連邦政府の構造調整と合せて中国関連人材も大幅に減らした。国家安全保障会議(NSC)は4~5月に人材を300人から50人ほどに大幅に減らす構造調整を断行した。
MAGA陣営の核心人物でありトランプ政権の実力者である極右インフルエンサーのローラ・ルーマー氏が「忠誠心不足」を理由に挙げて特定人物の解雇に介入したが、ここにはNSCで中国の技術奪取遮断と対中輸出規制政策の担当局長をはじめとする中国関連の人物が多く含まれた。元トランプ政権関係者は「米大統領は長く中国を見てきたNSC人材の助けを受けてきた。人材縮小は失敗」と評価した。
◇中国圧倒したソフトパワーも萎縮
中国を圧倒してきた米国の非対称戦力である「ソフトパワー」も衰退している。対外援助機関である米国際開発局(USAID)が廃止され、世界各地で行っていた海外援助事業がほとんど中断された。全米民主主義基金(NED)、国務省民主主義・人権・労働局(DRL)など中国と北朝鮮の人権活動家を助けてきた機関に対する補助金支給も中断されたり凍結した状況だ。
新疆ウイグル自治区内のムスリム弾圧、脱北者の強制送還、強制労働と過剰生産問題のような中国内の人権の実状を国際社会に伝えてきたボイス・オブ・アメリカ(VOA)とラジオ・フリー・アジア(RFA)などは存廃の岐路に立たされている。同誌は「対外援助政策縮小は中国との外交競争で米国の位置付けを弱めかねない」と伝えた。
もちろん第2次トランプ政権の対中政策はまだ完全に表れたのではない。第1次トランプ政権とバイデン政権は発足1年が過ぎてから中国を狙ったインド太平洋戦略を発表した。人工知能(AI)と半導体のような最先端戦略産業関連技術統制は前政権を引き継ぎ一貫して展開している。
それでもトランプ大統領の即興的政策決定はリスク要因という評価が出ている。ランバート元国務省中国調整官は「中国との競争で米国の優先順位が何なのかに対する戦略を立てる前に米国は戦略を実行するのに必要な手段を失っている」と話した。
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