産業通商資源部の安徳根長官が昨年1月11日に京畿道利川市のSKハイニックス利川事業所を訪問しEUVなど半導体生産ライン現場を視察している。[写真 産業通商資源部]
韓国政府は2022年に「半導体超強大国達成戦略」を発表し、今後10年間で半導体専門人材15万1000人を養成すると明らかにした。国同士の半導体覇権戦争が本格化する状況で半導体産業生態系強化に向け人材養成に本格的に乗り出すという趣旨だった。国の未来を左右する重要な発展戦略だった。
だが監査結果を見るとあきれる。青写真を描くための基本数値から問題だらけだった。産業通商資源部が予想した今後10年間の半導体人材需要見通しは実際の必要人材18万1000人より少なかった。産業成長で増える数字だけ考え、退職などにともなう空白などを考慮しなかった。実際の半導体人材供給効果が10万1000人で目標の15万1000人より5万人少なかったことにも言葉を失う。教育部が新規人材供給効果のない企業在籍者対象事業に財政を支援したためだ。無駄にお金を使った格好だ。
監査院は関係官庁に人材供給対策補完などを注文した。半導体競争力強化に向けた国家対抗戦が広がっている状況で政府が関連人材養成に意志を見せることは重要だ。しかし今回の監査で明らかになったように、政府が主導する計画の限界も明らかだ。現場とかけ離れた「アピール式政策」が蔓延し、しっかりとなされた政策効果を期待できないからだ。
国の未来を左右する半導体など第4次産業の競争力強化と人材養成は予算だけ増やし政策だけ発表したからとできるものではない。人材を育て、人材が流出しない環境を作ることが優先だ。長期的で安定した研究環境を作り、研究費と年俸など能力に見合った報賞を通じてグローバルな人材が働いて暮らすことができる生活インフラを構成するのも必須だ。
このためには企業が率先して走れるようにしなければならない。企業が投資と研究開発に乗り出し、その結実が収益として戻ってこそ核心人材に破格な待遇もできるためだ。そうするためには各種規制を緩和する一方で、週52時間勤務のように硬直した労働時間制度を解除し、年功序列中心の賃金体系に縛られている雇用の柔軟化も必要だ。
国の経済と安全保障まで左右する半導体などの先端産業人材を育てることができなかったり海外に奪われたりするならば、国のハイテク主権は弱まるほかない。激しい人材争奪戦で押しのけられるならば韓国に未来はない。
この記事を読んで…