2020年9月、米ワシントンのホワイトハウスバルコニーでイスラエルのネタニヤフ首相(左から)とトランプ米大統領、バーレーンのアル・ザヤーニ外相、アラブ首長国連邦のアール・ナヒヤーン外相が国交正常化協定「アブラハム合意」に署名した後、取材陣に手を振っている。 [AFP=聯合ニュース]
トランプ大統領はこの日に公開されたFOXニュースのインタビューで、アブラハム合意の拡大に関し「現在、本当に立派な国がいくつかある」とし「これまではイランが最も大きな問題だったが、今はもういくつかの国を順に協定に含め始めるようだ」と述べた。米国とイスラエルの攻撃でイランの武力が弱まり、協定の拡大が可能になったということだ。イスラエルのネタニヤフ首相も「我々の地域で幅広い可能性が開かれている」とし、協定拡大に期待感を表した。
アブラハム合意はトランプ大統領が自身の1期目の核心外交成果に挙げているものだ。2020年9月に米国の仲裁でイスラエルとアラブ首長国連邦・バーレーンが締結した外交関係正常化協定をいう。同年12月と翌年1月にモロッコとスーダンがそれぞれ合流した。
バイデン政権当時の2023年には「アラブの盟主」サウジアラビアとイスラエルの関係正常化までが議論されたが、同年10月のパレスチナの武装組織ハマスの奇襲攻撃で中断した。当時、トランプ大統領は自分が大統領だったならハマスの攻撃もなく、サウジのアブラハム合意合流も可能だったはずだとし、バイデン政権を批判した。
協定拡大の議論は相当な進展があるとみられる。米国のスティーブ・ウィトコフ中東担当特使は25日、「アブラハム合意の拡大はトランプ大統領の核心目標の一つ」とし「近く協定参加国に対する『大きな発表』があるだろう」と予告した。
協定に参加する新しい国にはシリアとレバノンが挙がっている。親イラン性向のアサド政権が没落し、武装組織ヒズボラが弱まったからだ。トランプ大統領は5月のサウジ訪問当時、シリアのアフメド・アルシャラ暫定大統領と会った後、シリアに対する制裁を解除した。実際、トランプ大統領のシリア特使のトム・バラック駐トルコ米国大使はこの日、「シリアとイスラエル、レバノンとイスラエルの間で議論と意思疎通があることを望む」とし「すべてがアブラハム合意に戻ることになる」と話した。
◆トランプ大統領「イランが核を放棄すれば制裁解除」
トランプ大統領はイランに対しても核交渉に復帰するよう圧力を加えた。トランプ大統領は「イランが平和に進み、いかなる損害も及ぼさないという点を見せれば、制裁を解除する」と述べた。米国が核施設3カ所を打撃する前にイランが濃縮ウランを移した可能性については「それはかなり難しく危険なことだ。彼らは何も移していない」と一蹴した。
トランプ大統領の発言に関連し、イランのタフトラヴァーンチ外務次官はBBCに「米国がイランとの核交渉再開を望むのなら、追加の攻撃をしないという立場を明確にするべき」と述べた。続いて「濃縮しないことに同意しなければ爆撃するというのはジャングルの法則」と主張した。イランが核兵器開発をすればイランをまた空襲するというトランプ大統領の立場を狙った発言だ。
米国とイランは15日にオマーンで6回目の核交渉を控えていたが、13日のイスラエルによるイラン空襲でなくなった。イランのイラバニ国連大使も米CBS放送に「イランの核濃縮は『平和的エネルギー』目的で許される。決して終わらない』とし『(ウラン)濃縮は我々の譲渡できない権利」と述べた。
◆「ハメネイ師の権威が低下…スパイ捜索に集中」
強硬な立場を明らかにしたイランだが、内部では悩みが多い。イスラエル・米国の攻撃に対応できず、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の神政体制の権威は急激に弱まった。ニューヨークタイムズは「イランでは最高指導者を最終的に権力の地位から引き下ろし、(大統領など)選出権力を強化し、対外協議に入ることを望む世論が多い」とし「危機を感じた神政体制強硬派が内部取り締まり中」と伝えた。ウォールストリートジャーナルは27日、イラン当局が停戦後、イスラエルのスパイ容疑で6人を処刑し、野党・反体制人物の取り締まりも大々的に進めていると報じた。
◆トランプの圧力のためか…「ネタニヤフ首相の裁判延期」
一方、イスラエルのエルサレム裁判所はこの日、ネタニヤフ首相の不正腐敗容疑裁判を電撃的に延期した。裁判所はイランとの停戦、ガザ地区の戦争などを理由に2週間の延期を要求したネタニヤフ首相の要請を受け入れた。裁判所の決定はトランプ大統領がトゥルース・ソーシャルに「ネタニヤフ首相の裁判を継続すれば米国は座視しない」と圧力を加えた後に出てきたため注目を集めた。
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