江原道(カンウォンド)最前方第22師団管轄地域のGP(監視哨所) [聯合ニュース]
陸軍・合同参謀本部が国会国防委員会の姜大植(カン・デシク)国民の力議員に提出した資料によると、軍は今年5月14日付でGP11カ所の復旧を終えた。陸軍は「9・19軍事合意履行後に破壊された韓国軍のGP11カ所の復旧工事を完了した」と答えた。軍が「復旧完了」を公式確認したのは今回が初めて。
合同参謀本部も「現在GPで正常な作戦を遂行中」とし、物理的復元だけでなく作戦的にも機能を回復したことを確認した。現在復元されたGPでは数十人の将兵が警戒作戦を遂行しているという。北側の措置に対する比例対応でK-6重機関銃、K-3軽機関銃など各種重火器も具備したと予想される。
軍によると、GP復元工事は昨年2月28日に始まった。復旧費用は約195億6000万ウォン(約20億円)。
これに先立ち北朝鮮国防省は2023年11月23日、「9・19合意書はすでに死文化して久しい」とし、これを事実上破棄するという声明を出した。その後、不能化したと主張した北側GPに兵力と無反動銃、高射銃など重火器を搬入した事実が軍の監視装備で捕捉された。北朝鮮は当初、木材などで仮設していたが、追加でコンクリートを打設して施設を補強したという。
これを受け、韓国軍当局も昨年初め、GPの復元を始めたが、この作業が約1年3カ月で終わったということだ。軍によると、GPの復元は1-3段階で進行された。1段階で砂袋などを使用して臨時防壁を積んだ後、2段階ではコンクリート防壁で状況室、将兵生活館などを設置した。「9・19合意以前の水準」はこうした1・2段階の復元を意味するというのが軍の説明だ。今後、2030年代初期までにGPに無人化警戒システムなど先端設備をアップグレードする3段階強化案を推進している。
南方限界線の南側にある一般前哨(GOP)とは違い、GPは非武装地帯(DMZ)内のMDL付近に位置する。このためGP復元のための重装備搬入も国連軍司令部の協調の下で進められた。
これに先立ち南北は2018年9・19合意に基づき、MDLの1キロ以内のGP11カ所を不能化することで合意した。10カ所は物理的に破壊し、1カ所は人員と監視装備を撤収するものの原形は保存した。
南側はGP約70カ所を、北側は約160カ所を運営していて、当時も数字を基準にした「等価無能力化」が比例に合わないという指摘があった。また、南側GP施設は地上陣地である半面、北側GPは地下施設が中心であり、北側のGPが実際に不能化されたかをめぐる検証問題が浮上した。
軍が復旧を完了した時点は大統領選挙の3週前だ。李在明(イ・ジェミョン)大統領は大統領選挙期間中に9・19合意を復元すると明らかにしたが、軍は「政治的な考慮なく作戦の側面で復旧作業を継続した」という立場だ。北朝鮮はGPに重火器を搬入しただけでなく、MDLに沿って地雷を埋設した。また、主要道路の軸線に沿って対戦車防壁を設置するなど、いつでも攻撃に転換できる防御線を構築している。
9・19合意が再び有効になる場合、李在明政権がすでに復元したGPをまた不能化するかも注目される。これに先立ち李在明政権は発足直後、対北朝鮮拡声器放送を先制的に中断するなど南北間の緊張を緩和するための措置を取った。ただ、9・19合意を復元する過程で北朝鮮と再協議が行われる場合、すでに復旧したGPを直ちに撤収・破壊するよりも、これを交渉力の向上手段として活用する余地もある。
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