24日(現地時間)、イランの首都テヘランの市民がイスラエルの自国領土攻撃に抗議するため、イランの国旗を手首に結んだ拳をイスラエルの国旗から突き出すパフォーマンスをしている。 [AP=聯合ニュース]
戦争を主導したイスラエルのネタニヤフ首相は今回の結果を「歴史的な勝利」と評価した。ネタニヤフ首相はこの日、国民向け演説で「イランの核兵器化の試みを阻止し、2万発の弾道ミサイルを破壊した。2種類の実存的脅威を除去した」と述べた。イランの核兵器製造能力とミサイル戦力が事実上破壊されたという宣言だ。
しかしイランの核野望がこのまま終わるとみる専門家は多くない。米国防情報局(DIA)は今回の攻撃がイランの核開発を数カ月ほど遅延させたにすぎないとみている。むしろフォルド核施設にあった408キロの60%濃縮ウランが国際原子力機関(IAEA)の監視から抜け出して行方が分からなくなった。ニューヨークタイムズ(NYT)は「一定の濃縮が進んだウランの濃縮度を高めるのは容易だ」とし「領土を攻撃されたイラン政権が自衛レベルで核兵器化を必死に推進する可能性が高まった」と分析した。
カーネギー国際平和財団のジェームズ・アクトン核政策プログラム共同責任者は「イランがIAEA監視網の外に爆弾数個分の高濃縮ウランを保管することになったとすれば、今回の戦争は核拡散防止の側面で災難だ」と評価した。相当数を破壊したとしても隠されたイランのミサイル戦力も無視できない。
ネタニヤフ首相は「イランが核プログラムを復元しようとすれば同じ行動をとる。イランは核兵器を保有しないはず」と強調した。異常兆候が表れればまたイランを打撃するということだ。
しかし今回のような攻勢を繰り返すのは難しいという見方がある。戦争の費用はイスラエル経済にも負担だからだ。英エコノミストは「イスラエル空軍は12日間に約1200回の任務を遂行し、高価なジェット燃料と誘導武器を消費した」とし「経済学者はこうした規模の作戦を1年間続ければイスラエルの国内総生産(GDP)の20%が必要とみられる」と伝えた。
GDPの約10%を使用したと推定されるガザ地区戦争も終わっていない。国内の反対の声にもかかわらずイランを攻撃したトランプ米大統領がまた支援するかも未知数だ。
とはいえ穏健交渉モードに転換するのもネタニヤフ首相としては容易でない。ガザ地区の完全占領、イランの政権交代などを主張する連立政権の極右政党を意識するしかない。ウラン濃縮などイランが反撃する場合、ネタニヤフ首相が政治的生存のためにまた戦争をする可能性もある。
一部では自信を抱いたネタニヤフ首相が政界改編に動くという見方も出ている。イスラエルのヘブライ大傘下研究機関の世論調査によると、対イラン空襲にユダヤ人の83%、イスラエル人口全体の70%が賛成した。ロイター通信は「長期間にわたり政権喪失危機に直面したネタニヤフ首相の右派政党リクードは、イラン空襲後に支持率反騰の兆候が表れている」と伝えた。
エコノミストは「リクード内部ではネタニヤフ首相が支持率上昇を機に早期総選挙で連立政権でなく過半議席の確保を狙えるとみている」とし「政界改編に成功する場合、ネタニヤフ政権は極右主義から実用主義的政策に変化する可能性がある」と伝えた。
軍幹部と核科学者を失って民間人被害も大きかったイランも大きな変化に直面する見通しだ。フィナンシャルタイムズ(FT)は「イラン政権は崩壊しなくても1979年のイスラム革命以来の重大な変化を迎えることになるだろう」とし「聖職者階級の権力が衰退し、革命防衛隊など軍部がこれを受け継ぐ可能性がある」と伝えた。
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